トカゲ太郎のワンダー・ワールド
海生ほ乳類を守ろう その1
シロイルカ

    
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(2013年8月)

シロイルカの旅

今年8月のニュース。アメリカ南部ジョージア州にある水族館が18頭のシロイルカ(ベルーガ)を輸入しようとしたところNOAA(アメリカ海洋大気局)から許可が下りなかった。野生のシロイルカの生息数に重大な影響があるという理由からだ。またこれらのシロイルカの内5頭は捕獲されたときにまだ子育て中で、しかも違法に捕まえられた可能性が高いとしている。

オホーツク海に暮らしていたこれらのシロイルカたちはロシア人の手で捕まえられた。水族館側の主張は、現在シロイルカたちがいるロシアの施設は飼育に適していないこと、また輸入して保護し、繁殖を試みるためだという。これに対し自然保護団体は、広大な海洋を渡って移住する野生のシロイルカを水族館の狭い水槽で飼うこと自体が健康に悪影響だとしている。

アメリカでは海洋ほ乳類保護法(Marine Mammal Protection Act)によって、米国内の海洋ほ乳類の捕獲だけでなく海外で捕まえられた野生種の輸入も原則禁止している。自然保護団体は、海外で飼育されている海洋ほ乳類であれば野生ではないためMMPAの枠を逃れられるという水族館の意図を指摘する。一方、水族館側はオホーツク海に暮らすシロイルカの生息数は安定しているとするIUCN(国際自然保護連合)が出した調査報告のお墨付きがあるという。





両者の意見が対立する中、管理機関であるNOAAは今回の決定を下した。これまでNOAAは“飼育下の動物”の輸入については許可することが多かった。それをくつがえした影響は大きい。去年から続いたこの論争は、水族館で海洋ほ乳類を飼育することに対して大きな議論の渦を巻き起こした。また、今夏に全米公開されたドキュメンタリー映画『ブラックフィッシュ』もまた火に油を注ぐことになる。

つながる世界

IUCNの協力を得て行われたオホーツク海におけるシロイルカの生息数調査はアメリカ、香港、日本にある5つの水族館が共同で計画したものだ。調査は2010年の7月に終了し、結果はこれ以上オホーツク海のシロイルカを展示用に捕獲することは生息数の減少につながるとするものだった。

カナダが1992年にシロイルカの輸出を止めて以降、ロシアだけが継続して年平均20頭のシロイルカを日本やカナダ、その他の国々に輸出している。1999年にロシアで捕獲されたシロイルカの一部は食用として日本に輸出された。また、ロシア国内のシロイルカの需要も伸びているため捕獲許可を求める商業用の船が増えている。さらに近年は中国で水族館の建設が相次ぎ、シロイルカやその他の海洋ほ乳類の輸入を盛んに行っている。このため、今は年に25頭から30頭のシロイルカが捕獲されている。

野生のシロイルカの捕獲を求める理由は水族館での繁殖があまり上手くいっていないことが挙げられる。無事に生まれたとしても2~3年で死亡してしまい、成長したとしても寿命が野生に比べて短い。




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