|
滋賀県立琵琶湖博物館 |
|
|
|||||||||
| トップ | 動物園・水族館 | 写真館 | 動物・恐竜の生態 | 動物や自然を守ろう | 紙芝居 | ぬりえ | 神話や民話の中の動物 | 美術館 | 当サイトについて |
| 2008年9月6日、学芸員の秋山廣光さんと臼井学さんに、外来魚のこと、川のことについてお話をうかがいました。 | |
| 2008年7月16日、学芸員の楠岡さんに、プランクトンについてお話をうかがいました。 | |
| 2007年12月12日、学芸員の楠岡さんに、博物館の中を案内していただきました。 |
(訪問日 2008年9月6日)
ブラックバス |
リバプレ隊の後藤さんは、活動のかたわら川の様子をよく観察する。 「最近、瀬田川の支流でコイやフナの大群が集まっているのを見てびっくりしました。 でも外来魚は見かけません」 と、あまりに多くて少し生々しい様子を写真で見せてくれた。
このことについて琵琶湖水族館の専門学芸員、秋山廣光さんは 「ブラックバス(オオクチバス)は水の流れのあまりない止水域にふつういます。 ブルーギルは遡上することもありますが中流域まででしょう。 獲物を追跡する大型のブラックバスから逃げて支流に集まったのかもしれません」 と説明する。
ブルーギル |
在来魚はそれぞれの種で特定の食べ物を決めて棲み分けし生き延びてきた。 それに比べて外来魚は何でも食べる。 つまり柔軟に環境の変化に適応できるのだ。 加えて外来魚は卵を守ったり、稚魚がある程度育つまでともに生活するなど繁殖力にもすぐれている。 ところが在来魚はハゼのなかまなど特別な種類以外は卵や稚魚を守ることをしない。 このため、卵や稚魚が外来魚のどんどん食べられてしまう。 また、在来魚の卵が産み付けられたり、稚魚が育つヨシ群が減少していることも一因だ。 外来魚はふつう岩がゴロゴロしている場所にいるからだ。
さらに生存競争は続いている。 ブルーギルが群れでブラックバスの卵を食べるのだ。 ブルーギルのスピードについていけないブラックバスは激減している。 実際アメリカではブラックバスを減らす目的でブルーギルを放流するのだという。 こうして琵琶湖はブルーギルだらけになりつつある。
さらに問題なのはコクチバス、この魚は川を遡上するため在来魚が支流に逃げてもどこまでも追いかけていく。
フナなど在来魚は内臓が入り組んでいてその構造が分かりにくい。 それに比べて、外来魚は胃や腸などの臓器がはっきり分かれていて観察がしやすいのだそうだ。 しかし、殺して捨ててしまうのではやはり問題だ。 そこでたんぱくな味の外来魚をなんとか美味しく食べるためのムニエルやフライなどの調理方法がいろいろためされている。
「絶滅が心配される種がいますが、専門家のアドバイスなしに特定の種を増やしたり、放流することは絶対にやめて欲しい」 と秋山さんは警告する。 まず、放流しても生き延びられるかどうかわからないし、もっと問題なのは九州産のものと琵琶湖産のもののDNAが混ざってしまう危険性があることだ。 「生態系は何千年という時の流れをとともに安定してきたものです。 複雑なしくみをある程度解明するには時間がかかります」 という秋山さん。
最後に決して外来魚が悪いのではないことを強調していた。 「何でも食べるブルーギルの中にも砂の中の貝を食べる特徴をもったものもいます。 藻を主食とするものもいます。 単一の種でもさまざまな生態があり、知れば知るほど面白い魚なのです」
臼井さんは河畔林の中でも彦根地区を流れる犬上川の竹林の問題に取り組んできた。 竹は昔、建物や生活用品によく使われていた。 そのため竹林も住民の手でよく手入れされていた。 ところが今は使うひとも減り荒れ放題になってしまった。 うっそうとした竹林はゴミの投棄場所なったり、川の流れを妨げるなどやっかいな場所になってしまったのだ。
「治水のためには刈り取ってしまうのが一番簡単です。 でも貴重な林でもあるため環境アドバイザーに意見を聞くなどして、なるべく植生を妨げないようにしています。 今後は炭や紙、箸を作るなど竹の有効利用を考えなければいけません」 と自然環境の保全と治水のバランスに臼井さんは頭を悩ましている。
琵琶湖には500本の一級河川が流れ込んでいる。 そのため自然環境にやさしい川の整備が全国でもいち早く進んでいる。 例えば魚道。 魚が堰などに妨げられず遡上できるよう人工的に川の中に魚道を設けるのだが、ふつう川の流れを優先させて川のわきに作ってしまう。 しかしこれでは水量が減ったり、逆に水量が増して激流になると魚は川をのぼれない。
「川には澪筋(みおすじ)といういつでも流れがとぎれない場所があります。 また、曲がりくねったりしている箇所では流れも変わってくるので川のリズミカルな形状を良く考えて工事は進めなければなりません。 また、魚は遡上のために澱みも必要とします」 という臼井さんは自然に細かい注意をはらいながら今も研究を進めている。
目まぐるしい環境の変化の中で治水を完璧に行うことは難しい。 そうした状況でも川に関心をもって川のことを良く知ることは自然を守り、人の暮らしを守ることになるという。 「川に関わる市民活動は大変重要です。 川の氾濫などの緊急時にも普段の活動から得られて知識で適切に行動できるからです」 と臼井さんは河川に関する知識が広がっていることを喜んでいた。
(訪問日 2008年7月16日)
プランクトンは琵琶湖だけでも数千種類いると推定され、その中のわずか八百種しかリストアップされていない。 プランクトンは陸上の大型の生物と同じように光合成をする植物プランクトンと光合成をしない動物プランクトンの大きく二つに分けられる。 また色も形も大きさもさまざまだ。
太陽光の紫外線から身を守るためピンク色をしたものや食べ物によって赤くなったものまで色彩豊かな体をしている。 また、砂粒をくっつけて巣を作るものや体の回りにねばねばした粘液を出して身を守るものまで、不思議な生態に満ちている。
なかでも面白いのがゾウリムシのなかまで、性別がメスとオスだけでなくA、B、Cと複数あるものがいるという。

スーパー単細胞生命の誕生は約30億年前とされている。 現在生きているすべての生き物の元になったものが何であったかはまだ分かっていない。 今のところ、その元になった生き物からさまざまな生き物が枝分かれして進化したと推測されている。 人間やその他の大型動物とは別の進化をとげた多くの微小生物は身体が一個の細胞からなる単細胞生物。 そのため、目、鼻、耳、口と感覚器官は分かれていない。 ただ感じる能力はしっかりとあり、その証拠に光に向かって進むものやエサの臭いをかぎわけるもの、磁力を感じるものもいる。 「コンピューターの集積回路みたいなもので感覚器がひとつにまとまっているのです。 決して劣っているわけではありません」 と言葉の印象から誤解しないで欲しいと楠岡さんはいう。 |
湖の環境と人びとのくらしをテーマにしたC展示室内にあるプランクトンコーナーは、今年3月にリニューアルされ展示スペースが広くなった。 |
実際、驚くべき能力をもったプランクトンは数多くいる。例えば、不老不死のアメーバ。 ふつうアメーバは分裂を繰り返して数を増やし、分裂の限界がくると他のなかまと接合して若返る。 しかし、不老不死アメーバは分裂に限りがなく自分の完全なクローンを生み出し続けるのだ。 このほか日向ぼっこするだけで生き延びるゾウリムシがいる。 ミドリゾウリムシは、身体の中に共生藻類クロレラがいて、クロレラが光合成で作り出す有機物をミドリゾウリムシがいただき、かわりに自分の排泄するリンやチッソをクロレラにあげるのだ。 このおかげでエサの少ない時期でもミドリゾウリムシは平気で生き延びられる。
主任学芸員の楠岡秦さんは今年7月、新種のせん毛虫(ゾウリムシのなかま)の発見を公表した。 楠岡さんとザルツブルグ大学のウィリヘルム・フォイスナー教授、宮城教育大学の島野智之准教授の研究チームは共同で調査を行い、2006年11月に琵琶湖博物館近くの湖岸で見つかったコレプス科のせん毛虫が新属であることをつきとめた。 そして、今年6月に国際原生生物学会の学術誌 「ジャーナル・オブ・ユーカリオティック・マイクロバイオロジー」 に論文を発表した。 新しいせん毛虫の名前はフォイスナー教授がレビコレプス・ビワエと名づけた。 レビは「滑らかな」、ビワエは「琵琶湖の」という意味。 古代湖である琵琶湖でとても古い時代に成立した種類であると考えられ、古代湖の種の分化について知る貴重な手がかりになる。
魚類や水生生物の食物となって生態系を支えるプランクトン。 一見しただけではそのすごさは分からないけど、よーくその世界をのぞくと不思議な小宇宙が広がっていてその魅力はつきない。
注: 絵の中のプランクトンは、見やすくするために、実際の比率よりも大きく描いています。訪問日 2007年12月12日
|
古代から現代まで滋賀県立琵琶湖博物館は琵琶湖の南東の烏丸半島にあります。 展示室は、A、B、Cと水族展示の四つに分かれていて、最初の三つの展示室では、約400万年前の古代から現在に到るまで琵琶湖の歴史をさかのぼるように様々な展示物が陳列されています。 そして最後の水族展示室では現在の琵琶湖に生きる生物を魚類の生態を中心に観察できるようになっています。 |
人々にとっての琵琶湖B展示室では、伝統的な輸送船であった丸子舟や古民家を復元するなど臨場感たっぷりの展示物で琵琶湖とともに暮らしてきた人々の歴史をたどることができる。 |
|
|
たる型のお風呂しっかり閉まって暖かいのはいいのですが、出入りにプライバシーの問題が発生します。 このたる型のお風呂は、『おけ風呂』と呼ばれている。 今でも一軒だけこのお風呂を使っている家があるそうだ。 |
|
多様性を育む琵琶湖には固有の十五種を含む五十種の魚類が生息している。 しかし、ブルーギルやブラックバスなどの外来魚の被害や水温の変化などで多くの魚たちがその数を減らしつつある。 そこで琵琶湖博物館では保護増殖センターで日本国内で絶滅の危機にある淡水魚の繁殖と自然復帰の研究を行っている。 |
琵琶湖博物館では地学、生物学、物理学などそれぞれ専門の学芸員さんが定期的に講習会を開催しているほか、展示交流員さんが展示物についていろいろなことを教えてくれる。 今回も詳しい説明を聞けて学んだことがいっぱいありました。
ご協力ありがとうございました。