トカゲ太郎のワンダー・ワールド
鶏、走れ!走れ!
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鶏、走れ!走れ!

養鶏の起源はパキスタンのインダス渓谷付近に始まる可能性が高く、そこからアジアやヨーロッパへと広がったようだ。それから約5000年間、人間はニワトリと共に暮らしている。人間はニワトリの肉や卵を長い間食べ続けてきたわけだが、その間に肉用、卵用の両方でニワトリの品種改良が進められた。

卵用種のニワトリはほぼ毎日卵を産み、品種によっては1年で約300個の卵を産み落とすことができる。400日ぐらいで疲れ果てたニワトリは、産む卵の数が減ってくる。こうなると、ソーセージや家畜用の飼料に加工するため肉処理工場へと送られることになる。

養鶏の方法は大きく分けて二つある。一つはケージと呼ばれる小さな籠に入れて育てる方法で、もう一つはおが屑などを敷き詰めた屋内もしくは屋外で飼育する「平飼い」と呼ばれるやり方だ。ケージで飼われる場合、ニワトリたちは狭い籠の中で十分な運動もできないまま一生を送る。そのようなストレスのたまる環境にいることで、ニワトリたちは結果的に病気にかかりやすくなってしまう。そのため、鳥インフルエンザのような壊滅的な病気が蔓延することを防ぐには抗生物質を鳥たちに与える必要がある。ところが、この抗生物質がニワトリの肉に溜まって、消費者である人間もその肉といっしょに抗生物質を取り込んでしまう可能性がある。一方、ケージ飼いにもいい点はある。エサやりの管理や卵 の採集など、少ない労働力で行うことができる。さらにケージ飼いの卵は平飼いの卵よりもかなり安い。

一方、平飼いのニワトリたちはずっと自由だ。ニワトリたちは本来の習性である砂浴びをいつでも自由にできるし、仲間どうしの触れ合いもある。このため抗生物質などの薬の量は少なくてすむ反面、卵の採集など、人の手間はかえってかかることになる。また、平飼いの卵は高価で、サイズもまちまちになる場合がある。

欧州連合はケージ飼いを2012年から禁止し、アメリカでもこの流れに同調する養鶏農家が出てきている。ニワトリにとっては平飼いがケージ飼いよりずっと快適であることは明らかだ。でも、最終的にどちらの卵を飼うかは消費者の手にゆだねられている。