トカゲ太郎のワンダー・ワールド
西表島の自然
西表野生生物保護センター

(訪問日 2009年4月28日)

西表島へ

トカゲ太郎
 

西表島には石垣島の離島ターミナルからフェリーで行ける。 料金は大原港行き片道1540円、上原港行き2000円。 どちらの港にもだいたい40分で到着する。

西表野生生物保護センター

西表野生生物保護センター 西表野生生物保護センター

西表島は日本の秘境。 人間の手の入っていない原生の亜熱帯広葉樹林やマングローブ林が全島に広がっている。 西表野生生物保護センターは、このような特別な自然環境の中に生きる貴重な野生生物の保護とその魅力を伝える活動を行っている。 なかでも保護・研究に最も力をいれているのがイリオモテヤマネコだ。



トカゲ太郎 西表野生生物保護センターの館内
西表野生生物保護センターの館内

イリオモテヤマネコについて

イリオモテヤマネコは島の人々には古くから知られていた。 でも日本固有種として正式に発見されたのは1965年のことだ。 現在の生息数はおよそ100頭(2007年調査)。 全島に散らばってすんでいて、環境としては川沿いや湿地帯などの低地好むようだ。


イリオモテヤマネコの骨格標本
イリオモテヤマネコの骨格標本
イリオモテヤマネコ

体長は約50cm。 イエネコより少し大きく、足が短い。 一見ツシマヤマネコに似ているけど、もっと身体の色が黒く、また食べ物や行動が違う。 イリオモテヤマネコの獲物は昆虫やサワガニ、カエル、トカゲなどさまざま。 これはいろいろな生き物がすんでいる西表島の環境に合わせて何でも食べてきた結果のようだ。 また、狩りのため木登りや泳ぎも得意で西表島の野生動物の頂点にいる。 行動する時間帯は明け方や夜だけど、人の目にふれることはめったにない。

事故を減らそう

イリオモテヤマネコの生息数調査は10年に1度本格的に行われる。 その結果、その数が減少傾向にあることがわかった。 理由は、生息地の減少や事故などさまざまだ。 事故については、年平均で1~2件。 去年は3件の事故があった。 100頭前後の生息数からするとこの数は多い。 そこで保護センターは住民の方々の協力を得て事故防止活動を行っている。

まずは事故について知ってもらうとともに、目撃情報を集めている。 これはひんぱんに現れる場所を見つけてその近くの道路に移動式の看板を立てるためだ。 また、道路の下にヤマネコ用のトンネルを作ったり、道路の表面をデコボコにしてスピードを落としてもらうゼブラゾーンを作ったりするなど、いわゆるエコロードを整備している。

イリオモテヤマネコを交通事故から守るための道路標識
イリオモテヤマネコを交通事故から守るための道路標識
トカゲ太郎     ヤマネコのおねがい

このほか心配されているのが飼い猫からの病気の感染。 この問題を避けるためネコを島に持ち込むには検閲が必要となり、すでに飼われているネコについては個体の見分けのためにすべてマイクロチップがうめこまれている。

カンムリワシ(剥製)
カンムリワシ(剥製)
トカゲ太郎

みんなで大切にしたい

イリオモテヤマネコ

島で暮らす人々にとってもイリオモテヤマネコは島のシンボルとしてとても大切だ。

西表自然保護官事務所・自然保護官の刈部博文さんは「島とはいえ広大な土地を保護センターの職員だけで監視したり、調査活動したりするのは不可能です」と住民の協力によって保護活動が成り立っているという。

刈部さんはまた、ときどきヤマネコが飼っている鶏などを襲うことについても住民の理解を得られるように話し合いをしている。

ヨンは13歳

1996年に事故にあって保護されたヨンはもうかなりのおじいちゃんだ(イリオモテヤマネコの寿命は推定10年)。 これまで野生復帰の難しいヨンは今までイリオモテヤマネコの生態を知るうえで大切な役割を担ってきた。 昼寝時間が長くなってきたけど今でも元気なヨン。保護センターを訪れた人はヨンの様子をモニターで見ることができる。

オオヒキガエルのせいではないけれど

最近問題になっているのがオオヒキガエルやシロアゴガエルなどの外来種。 石垣島ではすでにオオヒキガエルが数万匹に増加したといわれている。 もともとアメリカ産のこのヒキガエルはサトウキビの害虫駆除のため持ち込まれた。 体長は約20cmと大きく、昆虫や両生類、爬虫類と何でも食べる。 また身体に強い毒をもっているため在来種(もともと島にいた生き物)が食べて死んでしまう危険がある。 西表島では今のところあまり見られないが島に持ち込まれる物資にまぎれて上陸する可能性はおおいにある。 このため、保護センターでは住民の方々の協力を得て各集落に1名ずつ監視員を置いている。

多様な動植物の宝庫

ヤエヤマハナダカトンボやアサヒナキマダラセセリ(チョウ)などの昆虫をはじめイリオモテトンボソウ、ヤエヤマヒルギなど植物もふくめて西表島には固有の種が数多くいる。

また、ムラサキオカヤドカリやヤエヤマセマルハコガメ、キシノウエトカゲ、カンムリワシなどは国の天然記念物に指定されている。

リュウキュウキンバト(剥製)
リュウキュウキンバト(剥製)
トカゲ太郎


板のような根をはるサキシマスオウノキ
板のような根をはるサキシマスオウノキ
マングローブ林
マングローブ林
熟したらオレンジ色になるアダンの実
熟したらオレンジ色になる
アダンの実


山奥から河にそってマングローブ林が続いている

さらに、マングローブ林なども特別でオヒルギやヤエヤマヒルギなどマングローブの7種全種がある。

このような貴重な動植物を守るには生態系全体の保護がもっとも効果的だ。 保護センターではこのため専門家の協力を得ながら原生林や生息している動植物などを調査・研究している。

「今のところ全島の約40%が国立公園です。 しかし、この範囲は調査結果によって縮まったり広がったり見直されます。 さらに特別保護地区の指定なども生態系の状態によって変わってきます。」と話す刈部さん。国立公園内の調査や研究が一般の人々の利用に大きく関わってくることをうかがわせる。

また国立公園内でも次のような事情があることを指摘する「環境省の土地もありますが、私有地であったり他の省庁の土地であったり国立公園内の土地の所有については一定ではありません。 だから、保護活動を進めるにしてもそういう人たちに説明し理解を深めてもらうことが大切です。」


トカゲ太郎

「島の子どもたちは遊びの中から学んでいるのか良く自然のことを知っています。 ときどきこちらもタジタジになります。 でもそうした子どもたちの声も貴重な情報です」という刈部さんはこれからも島の人々とのつながりを大切にしていきたいと考えている。


ミナミトビハゼ
ミナミトビハゼ
マングローブ

来年は生物多様性会議が日本で行われる。 これにともない外国から島を訪れる研究者も増えているという。 西表島の自然は日本の生物多様性を示すうえでもとても貴重だ。

マングローブ林に生きるいきものたち

トカゲ太郎
オキナワハクセンシオマネキ
オキナワハクセンシオマネキ
キバウミニナ
キバウミニナ
ミナミコメツキガニ
ミナミコメツキガニ