トカゲ太郎のワンダー・ワールド
干潟
English

    


干潟、役立たずじゃない

干潟は海岸沿いにある。普通は沿岸近くの潮流や川によって運ばれてくる砂や泥が積もってできる。満潮の時間帯には干潟は海水の下に沈んでしまい、干潮時には海水がひいて泥の表面が姿を現す。このため干潟は潮干潟もしくは沿岸干潟とも呼ばれている。

昨年、荒尾干潟はラムサール条約の登録湿地となった。九州の熊本県にあって、渡り鳥にとって特に大切な地となっている。

荒尾干潟

昨年、荒尾干潟はラムサール条約の登録湿地となった。九州の熊本県にあって、渡り鳥にとって特に大切な地となっている。



メタガイは東アジアから南アジアに分布している。肉食性でアサリを食べる。

ツメタガイ
ツメタガイは東アジアから南アジアに分布している。肉食性でアサリを食べる。

一見しただけでは干潟は不毛な役に立たない土地に見える。でも実際にはとても大切な生態系だ。多くの動植物やその他の生き物たちが干潟の中で暮らしていて、お返しにそれらの生き物たちも干潟の環境を支えている。第一生産者である微細な藻類やバクテリアは泥の表面にある窒素や硫黄を有機物へと変える。そして、ゴカイや巻貝、甲殻類はその有機物と藻類、バクテリアを食べて生きている。海水が干潟を覆うとサメやエイ、そのほかの魚たちがそれらの小さな生き物たちを狙ってやってくる。海水がなくなると今度は鳥たちが貝類、タコなどの軟体動物や甲殻類を食べに飛来する。人間もまた干潟から恩恵を受けている。エビやカニ、カキや二枚貝など、干潟で獲れる海産物はたくさんある。干潟は役立たずでは決してない。



ムツゴロウは日本の干潟に暮らす最大のハゼの仲間だ。体長は最大で約20cmになる。九州の有明海に生息していて、初夏にはメスとの交尾のためオス同士争う姿が見られる。地元の人々の間では郷土料理として食べられている。

   ムツゴロウは日本の干潟に暮らす最大のハゼの仲間だ。体長は最大で約20cmになる。九州の有明海に生息していて、初夏にはメスとの交尾のためオス同士争う姿が見られる。地元の人々の間では郷土料理として食べられている。


干潟の代表的な魚トビハゼ。ムツゴロウと同じハゼ科の仲間だけど、身体はずっと小さく体長8cmほどだ。

   干潟の代表的な魚トビハゼ。ムツゴロウと同じハゼ科の仲間だけど、身体はずっと小さく体長8cmほどだ。
ミドリシャミセンガイは生きた化石と呼ばれるシャミセンガイの仲間の一種だ。

   ミドリシャミセンガイは生きた化石と呼ばれるシャミセンガイの仲間の一種だ。
チゴガニは日本と韓国の干潟に暮らしている。チゴガニはデトリタス(プランクトンや他の生き物の死骸)を食べることで干潟の中の分解者または掃除屋として重要な役割を担っている。チゴガニが作る巣穴は干潟に暮らす他の動物たちが利用できる新たな空間にもなっている。

   チゴガニは日本と韓国の干潟に暮らしている。チゴガニはデトリタス(プランクトンや他の生き物の死骸)を食べることで干潟の中の分解者または掃除屋として重要な役割を担っている。チゴガニが作る巣穴は干潟に暮らす他の動物たちが利用できる新たな空間にもなっている。

陸の守りびと

周期的に海水に覆われるためアマモやヨシなどごく限られた植物しか干潟に生息できない。けれども津波や侵食から陸地を守るために干潟は欠かすことのできない存在だ。だいたい干潟は湾や河口付近に広がっている。干潟は沖から押し寄せる津波の力を吸収するとともに、波による侵食を防ぐ緩衝地帯になっているのだ。

干潟は浄化の働きもしている。農業や産業など人間の活動によって出る排水には時々大量の化学物質が含まれていてそのまま河川へと流される。川から海へと流れつくそれらの化学物質は植物プランクトンにとって栄養となる。だから植物プランクトンはどんどん増えていき、動物プランクトンもまた同様に増える。ところが、どちらも海水に溶け込んでいる酸素を大量に使ってしまうため窒息してしまう。そして魚もまた酸素不足のため死んでしまう。もし川と海の間に干潟があったなら、状況は一変する。干潟とそこに暮らす生き物たちが化学物質をろ過してしまい、ある程度浄化された水だけが海へとたどり着くからだ。

アカテガニは東アジアに暮らしている。陸上での生活に十分適しているものの、干潟や沿岸近くにも生息している。

   アカテガニは東アジアに暮らしている。陸上での生活に十分適しているものの、干潟や沿岸近くにも生息している。


クロツラヘラサギは東アジアに生息している。絶滅危惧種として国際自然保護連合のレッドリストに載っている水鳥だ。クロツラヘラサギもそうであるように多くの渡り鳥たちがエサ場や越冬地としての干潟を利用している。

   クロツラヘラサギは東アジアに生息している。絶滅危惧種として国際自然保護連合のレッドリストに載っている水鳥だ。クロツラヘラサギもそうであるように多くの渡り鳥たちがエサ場や越冬地としての干潟を利用している。

ラムサール条約は湿地を保護および保全するための国際的な取り決めだ。ようやく人々が干潟や湿地の大切さに気づき、この条約は1975年にその効力を発揮するようになった。でも干潟の環境を守るためにはもっと多くの人々がその大切さを知る必要がある。