トカゲ太郎のワンダー・ワールド
海生ほ乳類を守ろう その2
シャチとイルカ

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(2013年8月)

シャチとイルカの旅

2010年2月、フロリダ州オーランドにあるシーワールド水族館で女性トレーナーがシャチに襲われて亡くなった。ティリクムという名前のこのシャチは過去にも二回カナダと同水族館で死亡事故を起こしている。『ブラックフィッシュ』はこの事故をもとに水族館でシャチやイルカを飼育することに疑問を投げかける映画だ。また、野生のシャチやイルカを捕獲してくることの残酷さも描いている。

シーワールドは、すでに35年以上野生の個体を捕獲していないこと、同園にいるシャチの80%が水族館で繁殖された個体であるとして、これらの批判に反論している。ただ、オランダ沖で助けられたモーガンと呼ばれる野生のシャチ(現在はスペインの水族館が飼育)は同園の所有であるという。

飼育下のシャチの寿命はいくつかの例外を除けば平均して約30年と短い。野生ではメスがだいたい50年、オスは30年程だが、メスの記録は最長で90年、オスは50~60年の記録が残されている。なぜ飼育下のシャチの寿命は短いかについては様々な理由が考えられる。

エコロケーション(音の反響でモノや獲物の位置を確認する)で動いているシャチにとって、自ら発した音がすぐに水槽の壁で跳ね返ってくることに耐えられず正気を失ってしまうものがいる。また、大海原を時には一日100km以上も泳ぐことで知られるシャチにとって、水槽の中をグルグルと回るだけの生活はかなりのストレスになる。これによって免疫機能の低下を招き慢性的な皮膚病になったり、肺炎を起こしたりする。中には攻撃的な行動を示すものや自ら壁に激突してしまうものまでいるという。水族館での事故が相次ぐ一方で、野生のシャチが意識的に人を襲ったという確実な記録は一件もない。

捕獲の意味



シャチもイルカも人間と同じぐらい複雑な社会をもつことで知られている。特にメスはポッドと呼ばれる群れで母親を中心に一生を暮らす。エサ獲りや交尾などの場合を除けば群れから遠くに離れることはめったにないほど固い家族関係を保っている。

捕獲は繁殖可能なメスを目当てに行われる。野生のシャチの中に適当なメスを見つけると群れごと浅瀬へと追いつめて身動きが取れなくなったところを網で捕まえて船へと引き上げる。要らないシャチは海に放されるが、群れから引き離されたストレスや噴気孔から海水が入ったことで起こる肺炎などでまもなく死んでしまうものもいるという。

あくまで野生の動物

イルカやシャチと触れ合いたいと思う人は多いけど、それが思いもかけない結果を招くことになる。まず、多くの人にペタペタと顔や口を触られることにストレスを貯めてしまうほか、人間からもらったバクテリアに対して抵抗力を持っていないため病気にかかってしまう。水族館だけでなく野生のイルカとの遭遇にも注意が必要だ。群れを小型ボートや船で追い掛け回すことはもってのほかで、近づくことも大変危険だ。

水族館のシャチの背びれはほとんどグニャリと垂れている。原因は背びれを支えるコラーゲンが成長期に十分発達できていないためと考えられているが、食べ物も関係しているようだ。野生のシャチは魚やイカのほかアザラシやオットセイ、ペンギン、ウミガメなど様々な生き物を食べるけど、水族館で与えられるエサは限られている。さらに、潮流や波のない単調な水の中を泳ぎ続けなければならないことも影響している。野生のシャチでこのような背びれをもつものはケガや船との接触事故で曲がってしまったものがほとんどで、何らかの健康上の問題があると考えられる。



岸辺でアシカの仲間オタリアを襲うシャチ。南米アルゼンチンの南端、バルデス半島で見られ、身体が打ち上げられる可能性がある非常に危険な狩りだ。成功させるには十分な経験を積む必要がある。そのテクニックは親から子へと代々伝えられていく。シャチの主食は生息地によって様々あり、魚だけを食べる群れもある。

岸辺でアシカの仲間オタリアを襲うシャチ。南米アルゼンチンの南端、バルデス半島で見られ、身体が打ち上げられる可能性がある非常に危険な狩りだ。成功させるには十分な経験を積む必要がある。そのテクニックは親から子へと代々伝えられていく。シャチの主食は生息地によって様々あり、魚だけを食べる群れもある。

このままでいいのかな?

イルカの知性をとても高く評価している人々は多い。イルカはそれぞれ個性を持ち、自我を自覚しているという。また、未来のことを考えて行動し、狩りの仕方やその他の生活様式は世代超えて引き継がれていくという。

確かにシャチやイルカを水族館で見られなくなることは淋しい。でも、海から捕まえてくることはもう限界があるのではないか。そして、人工授精で増やすこともまた群れを作れるわけでもなく続けることは難しいと考えざるを得ない。

シャチやイルカと人とが、お互いに豊な未来を築けるようこれからも考え続けよう。




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