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目に見えない世界 プランクトン |
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顕微鏡でしか見えないほどの小さな世界。 そこにはすべての生き物の食物連鎖を支える根源がある。 単細胞といってもその生態はさまざま。 まるで大きな小宇宙が広がるかのようだ。 トカゲ太郎は滋賀県立琵琶湖博物館を訪ね、その魅力についてお話をうかがったよ。
(訪問日 2008年7月16日)
プランクトンは琵琶湖だけでも数千種類いると推定され、その中のわずか八百種しかリストアップされていない。 プランクトンは陸上の大型の生物と同じように光合成をする植物プランクトンと光合成をしない動物プランクトンの大きく二つに分けられる。 また色も形も大きさもさまざまだ。
太陽光の紫外線から身を守るためピンク色をしたものや食べ物によって赤くなったものまで色彩豊かな体をしている。 また、砂粒をくっつけて巣を作るものや体の回りにねばねばした粘液を出して身を守るものまで、不思議な生態に満ちている。
なかでも面白いのがゾウリムシのなかまで、性別がメスとオスだけでなくA、B、Cと複数あるものがいるという。

スーパー単細胞生命の誕生は約30億年前とされている。 現在生きているすべての生き物の元になったものが何であったかはまだ分かっていない。 今のところ、その元になった生き物からさまざまな生き物が枝分かれして進化したと推測されている。 人間やその他の大型動物とは別の進化をとげた多くの微小生物は身体が一個の細胞からなる単細胞生物。 そのため、目、鼻、耳、口と感覚器官は分かれていない。 ただ感じる能力はしっかりとあり、その証拠に光に向かって進むものやエサの臭いをかぎわけるもの、磁力を感じるものもいる。 「コンピューターの集積回路みたいなもので感覚器がひとつにまとまっているのです。 決して劣っているわけではありません」 と言葉の印象から誤解しないで欲しいと楠岡さんはいう。 |
湖の環境と人びとのくらしをテーマにしたC展示室内にあるプランクトンコーナーは、今年3月にリニューアルされ展示スペースが広くなった。 |
実際、驚くべき能力をもったプランクトンは数多くいる。例えば、不老不死のアメーバ。 ふつうアメーバは分裂を繰り返して数を増やし、分裂の限界がくると他のなかまと接合して若返る。 しかし、不老不死アメーバは分裂に限りがなく自分の完全なクローンを生み出し続けるのだ。 このほか日向ぼっこするだけで生き延びるゾウリムシがいる。 ミドリゾウリムシは、身体の中に共生藻類クロレラがいて、クロレラが光合成で作り出す有機物をミドリゾウリムシがいただき、かわりに自分の排泄するリンやチッソをクロレラにあげるのだ。 このおかげでエサの少ない時期でもミドリゾウリムシは平気で生き延びられる。
主任学芸員の楠岡秦さんは今年7月、新種のせん毛虫(ゾウリムシのなかま)の発見を公表した。 楠岡さんとザルツブルグ大学のウィリヘルム・フォイスナー教授、宮城教育大学の島野智之准教授の研究チームは共同で調査を行い、2006年11月に琵琶湖博物館近くの湖岸で見つかったコレプス科のせん毛虫が新属であることをつきとめた。 そして、今年6月に国際原生生物学会の学術誌 「ジャーナル・オブ・ユーカリオティック・マイクロバイオロジー」 に論文を発表した。 新しいせん毛虫の名前はフォイスナー教授がレビコレプス・ビワエと名づけた。 レビは「滑らかな」、ビワエは「琵琶湖の」という意味。 古代湖である琵琶湖でとても古い時代に成立した種類であると考えられ、古代湖の種の分化について知る貴重な手がかりになる。
魚類や水生生物の食物となって生態系を支えるプランクトン。 一見しただけではそのすごさは分からないけど、よーくその世界をのぞくと不思議な小宇宙が広がっていてその魅力はつきない。
注: 絵の中のプランクトンは、見やすくするために、実際の比率よりも大きく描いています。