トカゲ太郎のワンダー・ワールド
捕食動物求む
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美しきウクライナ 

キツネとノウサギはリンクスしだい

ウクライナにはまだまだ豊かな自然が残されている。その中にはヨーロッパ・ハイイログマやオオカミ、リンクスなどの大型肉食獣も暮らしている。ヨーロッパ・バイソンやヨーロッパ・ジネズミなどの固有種も多く、カラパチアやクリミアの地域でよく見つかる。

オオカミやヨーロッパ・ハイイログマは比較的その生息数を維持しているといっていい。ときどきオオカミに家畜を襲われる牧羊者でさえ、オオカミやクマが担う生態系の中での役割を認めているからだ。彼らがいなければ羊をはじめとする家畜のエサとなる放牧地の草がエルクやシカによって食い尽くされてしまうだろう。

ウクライナの大自然の中にはネズミやホリネズミ、トビネズミなども十分に生息していることで、大型の捕食者だけでなくテンやイタチ、キツネなどの小型の肉食獣も命をつないでいる。

キツネとノウサギは リンクスしだい 

キツネとノウサギはリンクスしだい

野生のリンクスは主にノウサギを捕食する。そのためリンクスの頭数はノウサギの生息数に大きく影響している。リンクスとノウサギに強く結びついた動物が他にもいる。キツネがそうだ。競争相手を減らすためリンクスはキツネを襲う。キツネの頭数が減るとノウサギの数は増える傾向にある。リンクスが家畜や人間を襲ったりすることはめったにないにも関わらず、駆除の対象となって迫害されてきた。スペインではリンクスの頭数を減らしたことが、ノウサギの病気の蔓延を招いてしまった。明らかにリンクスはノウサギの生息数を抑えて、ノウサギの間で伝染病が流行ることを防いでいたのだ。

リンクスは他の生き物たちの生息数にも貢献している。キツネはライチョウやマツテン(イタチ科のテンの仲間)なども襲うからだ。キツネを追いかける時には雪が深ければ深いほど、リンクスにとって有利になる。長い脚と大きな手の平で身体が雪に沈むことを抑えてキツネより速く走れるのだ。キツネを捕まえて命は頂くものの、食べることはほとんどしない。

スウェーデンやフィンランドといった北ヨーロッパの国々において、リンクスの生息数はキツネとノウサギの生息数に関係しているという研究結果が出されている。一方で、捕食者と被捕食者(食べられる側)の関係は気候変動によっても大きく変わってきている。雪の量が年を追うごとに減っているからだ。

海の森の平和を守る者     - ラッコ - 

海の森の平和を守る者 ラッコ

海においては比較的小さな捕食動物でさえ健全な生態系の維持に大きな役割を持っている。

ケルプの森(大型のコンブの群生)や藻場ではラッコがその役目を果たしている。ラッコは大食いで、捕まえやすいカニや貝、ウニを好んで食べる。もしもラッコが生息域から姿を消せば、カニやウニが大繁殖するだろう。ウニは盛んにケルプを食べるため、ケルプの森は次第に失われ、他の海の生き物たちもまた姿を消す。増えたカニたちも藻場で同じように海藻を食べまくり、同じ結果を招くことになる。ケルプの森も藻場も幼魚やその他の海の生き物に食べ物と避難場所を与えてくれる貴重な場所だ。高い生産力をもつこれらの生態系を失うことは人間が得る海産物の深刻な減少を招くことになる。

バブーンハンター     - ヒョウ - 

バブーンハンター ヒョウ

現在、世界中で大型の捕食動物(ライオンやヒョウ、クマ、オオカミなど)は生息数が劇的に減り、生息域もまた縮小しつつある。驚くことに捕食動物の種類のうち75%以上がその数を減らしている。捕食動物を失うことは、さまざまな生態系と人間に深刻な影響を及ぼすことになる。

ヒョウはときどき家畜を襲って食べる。そのため人間は財産である家畜を守るためヒョウを駆除することになる。ところがヒョウはバブーンの天敵であるため、ヒョウがいなくなることはバブーンの数を劇的に増やす結果を招く。増えたバブーンたちは食糧不足を補うため人間の作物を食べてしまう。ヒョウの縄張りに十分な獲物がいれば、家畜を襲うようなことはなかっただろう。ヒョウは家畜を襲うことの危険を十分理解できるぐらい賢いからだ。