トカゲ太郎のワンダー・ワールド
NPO法人瀬田川リバプレ隊


(2008年9月)

生き物が子どもを育てて命をつないでいくためにはなんといっても生きていく環境が大切。 そのため、市民が協力して自然環境を守ろうという動きが全国各地に広がっている。 その中で今回は、琵琶湖と瀬田川を中心に環境の保護や学習に取り組んでいるNPO法人瀬田川リバプレ隊について紹介する。

NPO法人
瀬田川リバプレ隊

RIVER(川)とPLAY(遊び)をあわせてリバプレ。 8年前に結成された市民団体。 隊員は約40名。 隊員の年会費と各種の助成金で運営されている。 活動内容は、河川の掃除、外来魚の駆除、ヨシ群落の保全、水質調査、瀬田川周辺の歴史や風土に関する学習会など。

なんでブルーギルなの?

近年にニゴロブナやホンモロコなど琵琶湖の固有種が激減している。 その一つの原因となっているのがブルーギルやブラックバスといった外来魚だ。 そこで、リバプレ隊では年に数回、 「外来魚釣り大会」 を開催し、その後釣った魚の体の仕組みや何を食べているのかなどを調べる 「解剖教室」 を行っている。

釣りざおなど用具は同隊が準備するので誰でも参加O.K.。 また解剖教室は滋賀県立大学の講師が解剖の仕方や体の構造を説明しながら進められ、取り出された内臓や胃の内容物を顕微鏡で観察する本格的なものだ。

ブラックバス
ブラックバス

「ヌメヌメとした感触にためらう子どももいます。 でも、少し助けてあげるとだんだん興味が湧いてくる。 触ってみたり、体のしくみを知ったりすることで命を実感しているのでしょうね。 女の子が積極的なのには驚きました」 と同隊の事務局長の後藤三郎さんは教室が好評なことを喜んでいる。

さらに、「なぜフナではいけないのか?」、「なぜ外来魚だけ駆除されるのか?」 などなど、子どもたちのギモンは尽きない。


外来魚釣り大会

理事長の富岡親憲さんは 「外来魚とはいえ同じ命なんだということはしっかり伝えたい。 トクトク動く心臓に見入っている子どもたちを見ていると、命の不思議さを感じているのが伝わってきます」

同隊は釣った魚をムダにしないため、料理専門家を招いて外来魚を美味しく食べるクッキング教室を開いている。 また、将来は外来魚のDNAを調べて同じ種類の中でもどのような多様性があるのか、研究者の協力を得て解明していく考えだ。

ブルーギル

刈ったらよく伸びる

水をきれいにする作用があるとされるヨシ群落。 そこにはさまざまなプランクトンのほかゲンゴロウやヤゴといった水生生物、さらにドジョウやメダカなどの小魚が数多く生息している。 そして、それらを目あてに野鳥がたくさん集まってくる。 この貴重なヨシ群落を守るため同隊は毎年冬にヨシ刈りを行っている。 隊員のほかに、ボーイスカウトやガールスカウト、高校生、近隣の大学のボート部なども協力してくれる。

カイツブリ
カイツブリ


リバプレ隊のヨシ刈り


4月に芽吹きはじめ1年で3m~4mも成長するというヨシは刈ると生育がよくなる。 また、ヨシ帯に散乱する漂着ゴミやポイ捨てゴミの清掃も同時にする。 ヨシ群内に生息する生き物について学習会も行われる。

「大学のボート部は練習中にヨシ帯にたまるゴミが気になったようです」 と語る理事の谷村信さん。 40年以上瀬田川や琵琶湖の生き物たちを見つめてきた谷村さんは刈り取りをしながら生息する生き物たちの話をする。 「自分自身、実際に泥や水の流れを体感することで環境の大切さを実感するようになった。 子どもたちも学生さんたちも同じだと思います」 とともに活動できることを楽しんでいる。




子どもの夢

「オートバイなどはクレーンで引っ張り上げました。 自転車なんかも捨ててあってそれはヒドイもんでしたよ」 とそんなことが想像もできないほど美しい高橋川を前にして語る理事の朝田雅夫さん。 同隊は2年前の7月から毎月1回高橋川の清掃を始めた。 瀬田川に注ぐ全長4キロの高橋川をホタルや小魚が集まる川にして欲しいという希望が近くの小学校から隊に寄せられたのがきっかけだった。

左から谷村さん、冨岡さん、朝田さん、後藤さん


「はじめはリバプレ隊員だけでしたがそのうち活動を見ていた近隣の人たちも加わるようになりました。 お互い知らない人たちなんですが協力し合って清流を取り戻したんですよ」 と川が蘇ったことを朝田さんは心から喜んでいる。

実際小魚が川の水溜りにどんどん集まってきた。 ときどきそれらを狙ってカワセミも姿を見せるという。 ホタルの導入は生態系を変えるため検討中だが、子どもたちが豊かな自然に触れるには十分な川になった。

ギギ
ギギ

違うからいいんです

同隊はこれらの活動に加えて、地元の高校の生物部の協力を得て琵琶湖周辺の水質調査を行っている。 さらに、「河川を愛する市民会議」 を開いて他の団体と意見交換をし交流を深めている。

富岡さんは隊の活動を振り返りながら 「違うものが集まると最初はなかなかうまくいかない。 私たちも隊の運営でケンカばかりしていました」 と笑って話す。 しかし、お互いを尊重し、とにかく行動し続けることで隊の活動はどんどん発展してきた。 「いったん違うものどうしが結びつくと本当に強い。 だから大人から子どもまで隊とは関係ない人が活動に参加してくれる 」と富岡さんは今後も隊の活動に自信を深めていた。

リバプレ隊の活動は自然に浸透し、人のネットワークはますます広がっている。


専門家に聞いてみた  -外来魚のこと、川のこと-

リバプレ隊の後藤さんは、活動のかたわら川の様子をよく観察する。 「最近、瀬田川の支流でコイやフナの大群が集まっているのを見てびっくりしました。 でも外来魚は見かけません」 と、あまりに多くて少し生々しい様子を写真で見せてくれた。

このことについて琵琶湖水族館の専門学芸員、秋山廣光さんに聞いてみました。

外来魚は解剖しやすい。

フナなど在来魚は内臓が入り組んでいてその構造が分かりにくい。それに比べて、外来魚は胃や腸などの臓器がはっきり分かれていて観察がしやすいのだそうだ。しかし、殺して捨ててしまうのではやはり問題だ。そこでたんぱくな味の外来魚をなんとか美味しく食べるためのムニエルやフライなどの調理方法がいろいろためされている。

お話の続きは・・・ 秋山さんのイラストをクリック!

秋山廣光さん
秋山さん

自然は手をつけないのが一番です。でもね・・・

朝田さんは高橋川の草刈と清掃をしていて困ってしまうことがある。 川の急な斜面に生えた木を刈り取りできないことだ。 「川岸と川底をコンクリートで固めた三面工法でできた川だとこうゆう作業は危険なんです」 と作業がうまくできないことにもどかしそうだ。

琵琶湖博物館の学芸員主査、臼井学さんは河川工学を20年以上研究している。 臼井さんに河川の工法について聞くと 「昔は確かに治水のため三面を固めていました。 しかし、今は両岸に植物が育つようなブロックを階段上に積み上げるなど自然になるべく配慮した工法を採り入れています。 それでもまだすべての河川を整備できているわけではありませんが。 市民の方々の力で川の流れの妨げになるゴミや余計な植生を取り除いていただけるのは大変助かります」 と現在の状況について語る。

お話の続きは・・・ 臼井さんのイラストをクリック!

臼井学さん
臼井さん