トカゲ太郎のワンダー・ワールド
ロイヤル・オンタリオ博物館
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訪問日 2008年6月13日



ロイヤル・オンタリオ博物館の館内

ロイヤル・オンタリオ博物館

ロイヤルオンタリオ博物館について

カナダ、オンタリオ州トロント市にあるロイヤル・オンタリオ博物館(ROM)は市民の発案によって1914年に設立された。 ROMは考古学、古生物学、鉱物学、動物学、地学の5つの部門に分かれて展示物の収集と研究を行っている。 1978年に大規模な改築工事を始め収蔵品の数も増していった。 その後昨年6月にはマイケル・リー・チン・クリスタルと呼ばれるユニークな形をした現代建築に生まれ変わり、トロント市の新たなシンボルとなるとともに観光客の人気を集めている。


自然と文化を中心に

ROMの展示室は世界の文化と自然史の二つのテーマに分かれている。 世界の文化の展示室の目玉は中国から集められた品々だ。 紀元前2,000年ごろから18世紀にいたるまで彫刻や絵画、陶器などの逸品が揃っている。 また高円宮殿下の名前を冠した展示室があり、日本文化を代表する絵画、彫刻、焼き物などを陳列している。 自然史については、オンタリオ州の自然を中心に生物多様性の大切さを動物の剥製や植物の展示物を通して知ることができる。 実際に毛皮や骨に触って感触を確かめることができる体験型の展示室だ。

今回特集するのは自然史の中の 古代生物展示物 だ。

明るい恐竜の館

ロイヤル・オンタリオ博物館の館内

展示室は時代ごとに三畳紀、ジュラ紀、白亜紀、第三紀、第四紀に分かれており、恐竜とそのほかの生き物の化石については、それぞれ海と陸のテーマごとにまとめられている。 この中で、ジュラ紀の化石群は特に面白い。

ロイヤル・オンタリオ博物館の館内


海サソリ、ロイヤル・オンタリオ博物館

4億2,000万年前に現れた巨大海サソリ。 1982年にアメリカ、ニューヨーク州北東部のイリオンで尾の部分が、次に胴の部分が発見され、1997年にハサミの部分が見つかり身体全体の化石が揃った。

現在のカブトガニの仲間で、当時最強の肉食生物だった。





写真左はサソリの上半身。 長く伸びた先にハサミがはっきりと見える。

写真右はサソリの尾の部分

海サソリ、ロイヤル・オンタリオ博物館

海サソリ、ロイヤル・オンタリオ博物館

ウミサソリの一種のアクティラムスは約4億2000万年前、シルル紀後期に生きていた。その化石はアメリカのニューヨーク州とカナダのオンタリオ州で見つかっている。 いっしょに化石になった小さいウミサソリはユーリプテルス。



27メートルの怪物 ゴルド

バロサウルス

通称ゴルドと呼ばれるバロサウルス標本化石。 世界中で2体しかない貴重な展示だ。 この標本の制作を担当した関係者によると、復元は数百の化石の破片をジグソーパズルを解くように進められ、気の遠くなるような作業だったという。



 

ユーリノサウルス、ロイヤル・オンタリオ博物館

イクチオサウルスの仲間、ユーリノサウルス。 約6メートルほどあるこの化石は、1億8,000万年前のもので、ドイツで発見された。 海の底でおなかを下に向けた状態で、おし潰された化石で、普通は側面のものが立体的に見える。 イルカのように外洋を泳ぎまわっていたようだ。 シッポはサメのように垂直になっていたけれど、尾の先の骨がサメと違って下向きになっているのが特徴。



ステノプテリギウス、ロイヤル・オンタリオ博物館

ステノプテリギウスはイクチオサウルス科の仲間。現在のイルカのように大洋に暮らし、イカや魚を獲物にしていたと考えられている。ドイツで見つかった化石は約1億8000万年前、ジュラ紀初期のものだ。



エクスカリボサウルス、ロイヤル・オンタリオ博物館

エクスカリボサウルスはイクチオサウルス科に属している。その特徴は剣のような鼻先。アーサー王伝説に出てくる聖剣エクスカリバーが名前の由来になっている。



ジュラ紀初期に生きていた。化石は1億9500万年前のものでドイツにて発見された。

エクスカリボサウルス、ロイヤル・オンタリオ博物館


 

ベレムナイト、ロイヤル・オンタリオ博物館

ベレムナイトは1億8,000万年前のイカの仲間。 イカの仲間は身体が柔らかくて化石化しにくいけど、この化石は足の先まで残っている珍品。  イクチオサウルスのおなかの中から甲や足のツメが多数出てきたりする。

カブトガニ、ロイヤル・オンタリオ博物館

1億4,800万年前のカブトガニとその足跡の化石。 ドイツで発見されたこの化石は、カブトガニのおなか側が化石となって残ったものだ。 このカブトガニの死ぬ直前の足跡が残されているのが不思議な気分にさせる。



ステゴサウルスの仲間、ロイヤル・オンタリオ博物館

1億5,000万年前に生きていたステゴサウルスの仲間。 4本の足でゾウのようにゆっくりと歩いていた。 背中にある骨の板は、肉食恐竜から身を守るものではなく、交尾や仲間を見分ける役目をもっていたらしい。

そのお隣は、同じ時代に生きていた最大の肉食恐竜 アロサウルス

手前のガラスケースには、この時代に繁茂したシダ類やイチョウの葉の化石がある。



トンネルを抜けたらティラノサウルス

ティラノサウルス

ジュラ紀から白亜紀に展示室を移動する途中で、ティラノサウルスが見えてくる。 片足を上げた巨大な姿に見とれる人でいっぱいだ。 ティラノサウルスの足元にあるトリケラトプスの頭部は肌触りまで感じられそう。



パラサウロロフス、ロイヤル・オンタリオ博物館

パラサウロロフスは、アルバータ州立恐竜公園で1920年に発見された7,600万年前の化石ハドロサウルスの仲間の化石としては、ROMの収集の中でも保存状態が良く、来館者に是非みてもらいたい自慢の逸品だ。

グリポサウルス、ロイヤル・オンタリオ博物館

ハドロサウルスの仲間、グリポサウルスは、1918年に初めてROMが収集した恐竜化石。 ゴツゴツとした皮ふの跡が残っている大変貴重なものだ。



Euoplocephalus, ROM

エウオプロケファルスの頭がい骨(写真左)と尻尾の棍棒(写真右)。カナダのアルバータ州にある州立恐竜公園内で発見された約7600万年前の化石だ。エウオプロケファルスはアンキロサウルス科の一種で、白亜紀後期に生きていた。

Euoplocephalus, ROM


アルバートサウルスは約7600万年前、白亜紀後期に生きていたティラノサウルス科の恐竜。ティラノサウルス・レックスほど大きくはないが、体長は約9m、体重は2トンぐらいだったと考えられている。ティラノサウルス・レックスに比べて力強さに欠けるものの、俊敏な動きでハドロサウルスなどの獲物を捕まえていた。化石はカナダのアルバータ州にある州立恐竜公園内で発見された。小さい恐竜はディノニクス。

Albertosaurus, ROM


ティラノサウルス、ロイヤル・オンタリオ博物館

この化石標本は6,600万年前のもの。 ティラノサウルスは、正面向きの眼で物を立体的に見ることができた。 力強いアゴのついた巨大な頭を支える首は太くて短い。 子供のころは素早く動けただろうティラノサウルスも大人になると駆け足がやっとだった。

成長するとともに頭の形が大きく変化するので、子供のティラノサウルスの頭蓋骨が別種の恐竜とよく間違えられた。


空中から首長竜が襲う

モササウルス、ロイヤル・オンタリオ博物館

白亜紀の海のコーナーでは首長竜や巨大魚、巨大亀が頭の上の遊泳している。 その下には獲物となったアンモナイトやエビ、カニなどの甲殻類の化石がある。

アンモナイトの化石の1つにはモササウルスの歯型がくっきり残っていて、古代の海が蘇ってきそう。



Rudist, ROM

恐竜の時代に海の中で礁を形作っていたのは軟体動物の厚歯二枚貝だった。ジャマイカで発見された約7500万年前、白亜紀後期の厚歯二枚貝の化石。

Rudist, ROM

メキシコで見つかった約7000万年前、白亜紀後期の厚歯二枚貝の化石。



恐竜の巣と卵

訪問日 2012年5月18日 (マッソスポンディルスに関する記事のみ)

ROMには大変珍しい展示がある。 それは、恐竜の巣の化石、そしてまもなく孵る恐竜の卵の化石だ。 1976年に、卵の化石が南アフリカのゴールデン・ゲート国立公園で発見された。 これがどの恐竜の卵であるのか長い間不明だったのだが、2004年にトロント大学においてマッソスポンディルスの卵であると解明したのだ。

マッソスポンディルスの卵、ロイヤル・オンタリオ博物館 マッソスポンディルスの卵、ロイヤル・オンタリオ博物館

恐竜の巣の化石、ロイヤル・オンタリオ博物館

左の写真はROMの古生物学者デービッド・エバンス氏によって同国立公園で2005年に発見された恐竜の巣の化石。 この化石により、恐竜が一度にいくつの卵を産んだのかを知ることができる。 この巣の中には約30個の卵がきっちりと収められている。 それぞれの卵の大きさは、雁の卵と同じぐらいだ。

マッソンポンディルスは子育てをしたの?

古代生物の行動を化石から知るのは、古生物学者たちにとっても大変難しいことだ。 そこで化石の様子と、現代の動物たちの行動を参考にして知ろうと試みる。

マッソスポンディルス(幼体)の頭蓋骨、ロイヤル・オンタリオ博物館
マッソスポンディルス(幼体)の頭蓋骨
マッソスポンディルス(成長期)の頭蓋骨、ロイヤル・オンタリオ博物館
マッソスポンディルス(成長期)の頭蓋骨

まず、マッソスポンディルスの孵化直前の子供にはしっかりした歯がない。 草食動物であるマッソスポンディルスにとって、植物をむしり取って食べるために歯はとても重要だ。 このことから、生まれたばかりのマッソスポンディルスに、親は食べ物を持ってきただろうと想像できる。

現代の動物で恐竜に近いとされているのは、鳥類とワニ類だ。 中でも鳥は恐竜の直接の末裔である可能性が高い。 鳥は卵を寒さや敵から守るため、親は巣に座って長い時間を過ごす。 孵化した後は食べ物を運んでくる。 ワニもまた巣を守り、孵化した後は安全な場所に子供たちを運んだりもする。 このことから、恐竜も卵や生まれたばかりの子供をなんらかの方法で世話したであろうと考えられる。

マッソスポンディルス(成体)の頭蓋骨、ロイヤル・オンタリオ博物館
マッソスポンディルス(成体)の頭蓋骨

マッソスポンディルスってどんな恐竜?

プラテオサウルス、ロイヤル・オンタリオ博物館

ジュラ紀初期(1億9000万年前)の恐竜だ。

残念ながら、ROMには成長したマッソスポンディルスの全身標本展示がない。 代わりに、マッソスポンディルスにとても近い種類であるプラテオサウルスが展示されている。 マッソスポンディルスと同じく原竜脚下目で、その特徴は細長い首と比較的小さい頭。 また幼少期は四足で行動するが、成長すると二足で行動するようになることだ。 草食だった。 ギザギザした歯で植物をむしり取り、噛まずにそのまま飲み込んでいたようだ。

原竜脚下目は三畳紀後期に現れ、短い期間に種類を増やしていった。 当時の地球の陸地はパンゲア大陸と呼ばれる大きなひとつの大陸だった。 だから恐竜たちは地面がつながっている世界中のどこへでも移動することができた。 その証拠に、原竜脚下目の恐竜の化石は南極大陸を含む全ての大陸から発見されている。

原竜脚下目はジュラ紀中期までには絶滅し、竜脚下目の恐竜たちの時代となる。

このころ、同じ地域(エリオット岩層)には他の種類の生物もいたようだ。 キノドン類や哺乳類、ワニ類、カメや様々な爬虫類などが化石となって見つかっている。

マッソスポンディルスにとって一番の天敵はドラコベナトル。 トサカがある6メートルの肉食恐竜は、当時この地域ではまるでティラノサウルスのような存在だった。

ドラコベナトル、ロイヤル・オンタリオ博物館
ドラコベナトル、ロイヤル・オンタリオ博物館


あべこべな古代と現代

ナマケモノ?、ロイヤル・オンタリオ博物館

恐竜ぐらい大きな哺乳類化石がならぶ第三紀第四紀のコーナー。 絶滅した哺乳類の化石、30体を含む400種類の生き物の標本や化石が陳列されている。 ゾウより大きなナマケモノ化石に目をみはっていると、犬と同じくらい小さい馬の仲間の復元標本があったりして、驚きの連続。



ブロントプス、ロイヤル・オンタリオ博物館

3,500万年前のこのブロントプスの仲間は、サスカチュワン州で発見された。 サイに似たブロントプスは立った時の肩の高さが2.5メートルでゾウより少し低いぐらいだった。 骨の形から、頭の角は成長と共におおきく変わっていったことがわかる。

エレモテリウム、ロイヤル・オンタリオ博物館

エレモテリウムは1,500万年前に北アメリカに生息していた巨大なナマケモノ。 立つと5メートルほどもあり、地上をのしのしと歩き回っていた。 今では樹上でひっそりと暮らすナマケモノの祖先である。

ノトロテリオプスのウンチ、ロイヤル・オンタリオ博物館

ノトロテリオプスは現在のクマのサイズぐらいだった。 やっぱり大きなナマケモノの親戚。 これはノトロテリオプスのウンチ。 良く見ると食べ物の繊維がそのまま中に残っているのがわかる。