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アカウミガメ |
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訪問日 2008年12月5日
ウミガメとは?海に生息するカメ。 世界にはアカウミガメ、アオウミガメ、タイマイ、ヒメウミガメ、ケンプヒメウミガメ、ヒラタウミガメ、オサガメの7種類のウミガメがいる。 これらに亜種のクロウミガメを加えることもある。 全種類が絶滅危惧種。 日本ではアカウミガメが本州の福島県から以南、四国、九州、沖縄にかけて産卵のため上陸する。 また、アオウミガメは、小笠原諸島と屋久島から南西諸島にかけて上陸、産卵する。 さらにタイマイは、沖縄から南の島々にかけて産卵する。 このほか、ヒメウミガメとオサガメも日本の近海を回遊している。 大きさは、最大のオサガメが体長2m以上、体重700kgに達する。 また、最小のケンプウミガメが体長75cm、体重45kgほど。 ウミガメのほとんどが雑食性で、クラゲから貝類、カニやエビなどの甲殻類、小魚いたるまでさまざまなものを食べるが、アオウミガメは海草を中心に食べる。 |
名古屋港水族館は日本で唯一アカウミガメの人工繁殖に成功している。 これはヨーロッパや北米からその飼育方法について問い合わせがあるほど画期的なことだ。 でも、開館してすぐにウミガメたちは産み始めたわけではない。 1993年の開館当時からアカウミガメの飼育にたずさわっているウミガメ・オーストラリア担当係長の春日井隆さんは 「2年間は卵を産んでくれませんでした。 せっかく産卵場所の砂浜を作っても上陸さえしてくれなかった。」 と苦労した当時を振り返る。 そして水温や砂の温度を変えるなど試行錯誤を繰り返す中で考えられた最善の方法は 「距離を置くこと」 だった。
それまでは上陸が気になってアカウミガメの行動をどうしても頻繁に観察していた。
「デリケートなのでしょうね。 アカウミガメは人間に見られているとそれだけで、行動を変えてしまいます。 だから少し遠くから見守るようにしたところ、上陸し始めたのです。」 という春日井さんはもうひとつ重要なことを発見した。 それはアカウミガメが砂浜の位置を水中から何度も確認していたことだ。「アカウミガメの立場になっていろいろなことがわかりました。 見すぎてもダメ。 でも観察も大切」 と春日井さんは人工繁殖の複雑さを説明する。
![]() 人工砂浜へのあがりぐち |
今では水中に2か所、砂場に3か所のカメラからその行動を24時間体制で観察している。 2月頃に交尾行動が活発化して4月下旬から6月にかけて夜間に営巣(卵を産む穴を掘る)と産卵を行う。 この間に4回から5回上陸と産卵を繰り返し、1回にだいたい100個ほどの卵を産む。 産み落とされた卵はすぐに名古屋港水族館の隣にあるカメ類繁殖研究施設に移されて人工ふ化される。 もちろん全部の卵から無事赤ちゃんが生まれるわけではないが、砂から這い出た赤ちゃんは大切に育てられて、そのうちの半分は房総半島沖から外洋へと放される。 |
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1 しっぽの中に性器が隠れている。 2 オスは前脚のツメでしっかりとメスをつかむ。 オスのおなかはカーブしている。 2時間ほどこの状態が続くと、交尾が成功した証拠だという。 |
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今では母親のお腹の中の卵の殻が形作られる様子まで観察できるようになり、上陸の始まる日や産卵の日などをわずか1日程度のずれで正確に予測できるようになった。 ただ、上陸しても産まずに水槽にもどってしまうこともありその様子を目の当たりにするのは難しい。
夏休みに1才に満たない子ガメの甲羅を触るイベントがある。 広報担当の佐藤裕也さんは 「まだ柔らかい甲羅にびっくりしたり、小さな体なのに意外と力強い子ガメに驚いたり、と子どもたちにとても好評です」 とふれあい体験の様子を語り、今後もウミガメについてもっと良く知ってもらうため種類ごとの特徴やエサの違いなどの解説などさまざまなイベントを考えている。
なお、隣の繁殖施設は無料で開放されていていつでも見学できる。
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発信器を取り付けたカメ 写真 NOAA提供 |
北太平洋海域に生息するアカウミガメはすべて日本生まれと考えられている。 しかし、日本の砂浜から旅立った子ガメたちのその後の生態はこれまでほとんどわかっていなかった。 そこで、名古屋水族館はNOAA(アメリカ海洋大気庁)およびHPA(ハワイ・プレパラトリーアカデミー)と協力して、人工衛星を利用した子ガメの回遊追跡調査を2003年4月から開始した。
小型発信器を装着して房総半島沖で放されたのは、1才から3才(甲羅の長さは20cm~60cm)の名古屋港水族館生まれの37頭とアメリカの漁船の網にひっかかった6頭。
発信器から送られる信号によって子ガメの位置だけでなく、海流を考慮した子ガメの泳ぐ速さやどのくらいの深さを泳いでいるのかなどの情報もわかる。 これまでの調査結果から子ガメたちは、黒潮と親潮がぶつかる栄養豊かな海域で少なくとも2年から6年の間クリオネなどの軟体生物やクラゲ、魚の卵などを食べて過ごす。 その後はアメリカ・カリフォルニアのバハ海岸沖に向かう。そこでカニやエビを食べて成長し、成熟すると日本を目指して再び太平洋を横断すると予測されている。
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さらに名古屋港水族館では2005年と2006年にそれぞれ40頭と35頭の子ガメを日付変更線付近の海域で放流した。 ハワイより東の海域での子ガメの行動を知るためだ。 愛知県立三谷水産高校の協力によって同校の実習船愛知丸によって子ガメたちは放流される地点まで運ばれた。 愛知丸にはアメリカ側からプロジェクトリーダーであるNOAAのジョージ・バラスさん、HPAのマーク・ライスさんと学生3人が日本から乗船し放流に参加した。 名古屋港水族館側から同船に乗船したカメ類繁殖研究担当の斎藤知己上級主任は 「日本とアメリカが協力して行う調査に水族館生まれの子ガメたちが活躍できるのは、研究のうえでも文化交流のうえでもとても大切なことです」 と貴重な体験について語る。 |
![]() アカウミガメや他のカメたちにはエサはエビ、イカ、 イカナゴ(小魚)など。 アオウミガメにはレタス、 キャベツなどを与える。 |
しかし、斎藤さんによれば調査に使われる発信機は1個100万円以上する高価なもので、追跡にはそれ以上の経費や手間がかかるという。「今後の調査については未定です。 ただ、得られた情報からアカウミガメの生態がもっと知ることができると思います。」 と斎藤さんはこれまでの調査の成果に自信をもっている。
アカウミガメの保護についてアカウミガメの数は減っている。 原因は、産卵場所の砂浜が埋め立てや護岸工事などで減っていることやウミガメの生理や生殖に影響する化学物質による海洋汚染、魚の網に引っ掛かってしまう混獲などがある。 国の取り組みとして環境省生物多様性センターではウミガメが上陸する全国の砂浜40か所で、上陸数や産卵数、砂浜の生態系などの調査を進めている。 この調査は、日本全国の森林や河川、湖沼、海岸などの自然環境の状態を調査し、自然環境保護に役立てるためのデータの収集と蓄積を行う「モニタリングサイト1000」という事業の一環として行われているものだ。 実際の調査は、各地方の大学や研究機関、NPO、ボランティアなどが参加協力して行い、それぞれの団体どうしでネットワークを広げている。 「2003年から始まったモニタリングサイト1000は今後100年間かけて行われる長期的な事業です。 その中のウミガメの上陸地の調査もまだ始まったばかりです。 環境の変化の動向を得るにはもう少し時間がかかるでしょう。 ただ、今年に限っていえば上陸数が3倍に増えたとの結果が出ています。 それが環境の改善によるものなのかどうか、今後も続けて調査を進める必要があります」 という環境省生物多様性センターの吉田祥子さんはアカウミガメの上陸地調査をさまざまな人々が協力して行っていくことが最終的には生息数の増加につながるのではないかと考えている。 |

そもそもなぜNOAAやHPAが名古屋港水族館の協力を得てこのプロジェクトを始めたのか。 ジョージ・バラス博士にその理由をお聞きした。
アカウミガメの旅 アメリカ海洋大気庁(NOAA)へ、GO!