トカゲ太郎のワンダー・ワールド
スミソニアン国立自然史博物館 恐竜コーナー
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Entrance of Natural History Museum、スミソニアン国立自然史博物館

国立自然史博物館

アメリカ合衆国の首都、ワシントンD.C.にあるスミソニアン博物館群の中でも特に人気があるのが国立自然史博物館だ。 街の中心にあり、地下鉄や市バスなどでのアクセスが便利。 飛行機でロナルド・レーガン空港に到着した30分後には博物館に到着できてしまうほどの便利さだ。

自然史博物館は、クリスマス(12月25日)を除き、毎日開館している。

開館時間は10:00~17:30だが、変わることもあるので事前にウェブサイトなどで確認しよう。



アメリカ最大級のコレクション

国立自然史博物館は、哺乳類館や昆虫館、鉱物館などおおまかに8部門に分かれていて、古生物館は2階にある。 その展示品の中でも見ておきたいのがバージェス動物群の化石だ。 (詳しい内容はこちら) また、古生代から新生代まで時代ごとに代表的な化石をそろえている。 さらに海洋の化石コレクションも充実している。 観賞して驚くのはひとつひとつの化石の保存状態がとても良く、標本自体が美しいことだ。 今回はその中でも古生代から新生代にかけての爬虫類、恐竜そして大型哺乳類の展示品について紹介する。



スミソニアン国立自然史博物館
ボランティアの人たちが丁寧に展示品についての説明をしてくれる。 巨大なメガロドンのアゴと歯の実物大レプリカ。




恐竜たちが出現する前の生き物たち

- ペルム紀を生きた爬虫類とその他の生き物 -

ウミサソリ
ウミサソリ、スミソニアン国立自然史博物館

海から陸に上がってきた最初の節足動物だと考えられている。 時々陸地に上がってくることはあっても陸上に定住することはなかったようだ。 2億5千万年前のペルム紀末の大量絶滅の時に絶滅してしまった。

リストロサウルス
リストロサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

カメのような口ばしをもつディキノドンの仲間のリストロサウルスは、海から陸に上がってきた最初の脊椎(セキツイ)動物の1つだと考えられている。 哺乳類に近い草食の爬虫類で、 三畳紀初期(約2億3000万~2億2500万年年前)には水辺から乾燥地帯まで広い範囲に生息していた。 草食動物であるため、同時代の肉食動物の主要な獲物になっていただろうと考えられている。

ディキノドン
ディキノドン、スミソニアン国立自然史博物館




エダフォサウルス
エダフォサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

エダフォサウルスはラビドサウルスと同じ頃に生きていた。 頭の大きさやアゴ、歯などが比較的小さいため、あまり大きな獲物は食べられなかったようだ。 主に植物食で、昆虫なども食べていたと考えられている。

ラビドサウルス
ラビドサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

爬虫類の先祖に近い種であるラビドサウルスはペルム期前期(約2億8~5千万年前)に生きていた。 ほとんどの爬虫類の歯がそうであるように、ラビドサウルスの歯はだいたいが円錐形をしており、すぐに入れ替わるので表面があまり摩耗していない。





ディメトロドン、スミソニアン国立自然史博物館
ディメトロドン

ペルム期前期(約2億8~5千万年前)に存在した恐ろしい肉食動物だったディメトロトン。 そのS字型に曲がった下アゴによって大きな牙を口の中に収めることができた。 おそらく同時代の陸上に棲むどんな動物もディメトロドンのえじきになっていただろう。





ディアディクテス、スミソニアン国立自然史博物館 ディアディクテス、スミソニアン国立自然史博物館
ディアディクテス

ペルム紀初期(約2億8千~5千万年前)に生きていたディアディクテスは奇妙な動物だ。 身体の構造は爬虫類に近いのに、耳の形や頭蓋骨の表面を分析するとむしろ同時代の両生類であるシームリアによく似ている。 歯は両生類とも爬虫類とも違い、厚いエナメル質で覆われていて、歯の擦り減ったようすからとてもゆっくりと生え換わっていたようだ。 この時代、おそらくディアディクテスは陸上に棲み、植物を主に食べていた数少ない動物のひとつだった。

ディアデクテスの下あご。 歯の表面がすり減っている。

ディアディクテス、スミソニアン国立自然史博物館


成長したエリオプス
エリオプス、スミソニアン国立自然史博物館

エリオプスはペルム紀前期(約2億7千万年前)に生きていた。現代のオタマジャクシがカエルとは身体のつくりがとても異なるように、古代の両生類も幼少期を水中で過ごし、成長すると陸上で暮らすためその身体が変化した。 このためしばしばまったく別の生き物だと間違って解釈されることがある。

シームリア
シームリア、スミソニアン国立自然史博物館

体長は90cmほど。水から陸地に這い上がってきた生物にとって、どっしりした手足、短い胴体と尾を持つことで陸上を這い回って動くことができた。 ペルム紀初期(約2億6千万年前)に生きていた。



スミソニアン国立自然史博物館

最も初期の爬虫類の遺骸はリンボクの切り株にある洞から見つかることが多い。 石炭紀後期、最初期の爬虫類の多くがカナダ東部のノバスコシアの低木森林に棲んでいた。 そこは洪水が多く、多くの木々を枯らすとともにその幹の半分が泥の下に埋まった。 やがて森は復活するが、その後も繰り返し洪水の被害に遭ううちに枯れた木々の根元は腐って、大きな穴だけが新しい森の地上に残った。 地上をはう多くの爬虫類やその他の動物たちがその穴に誤って落ちてしまったため、切れ株の洞は自然にできた罠のような役割を果したようだ。

恐竜たちが現れた (中生代)

ところで恐竜ってなに?

恐竜は身体の真下にある足で歩いた爬虫類。 このため、腹ばいで動き回ったり、泳いだり、飛んだりはしない。 恐竜は今までに地球上に現れた陸上に棲む最大の動物だった。 その種類も数もとても多く、三畳紀後期から白亜紀末までの1億4000万年間の長きにわたって存在した脊椎動物だ。

恐竜はその特徴によって大きく、竜盤類と鳥盤類に分けられる。 竜盤類は肉食のものと草食のもの(ディプロドクスなど)がいる。 鳥盤類は全て草食。 カモノハシのような口をしたハドロサウルスの仲間や、様々な角をもつもの、鎧をまとったような体のものなどがいる。 また、それぞれのグループに二足歩行と四足歩行をするものがいる。

その大きさは別として、恐竜のもつ際立った特徴は鳥類のものとよく似ている。 恐竜の骨、とくに小型のものの骨はたいていスカスカの空洞になっている。 また化石として残った恐竜の足跡を分析すると多くの恐竜はまるで鳥のように後ろ足を使って歩き、体重は脚先の3本の足の指で支えられていたようだ。 また、左右の足跡の間隔が狭いことから、恐竜は身体の真下に足が垂直についていたと思われる。 これは地を這うように移動する他の爬虫類の脚の付き方よりもずっと鳥に酷似している。

飛ぶことはなかったものの恐竜は鳥類であるという説はこれを根拠としている。

でも、恐竜は鳥の最も重要な特色である“飛ぶこと”はできなかったようだ。


竜盤類の腰骨は
トカゲの腰骨のように恥骨が大きく前に突き出ている。
鳥盤類の腰骨
恥骨は細くて後ろ向きについている。

アメリカ最初の恐竜は?

古生物館の歴史は1846年にスミソニアン協会が設立されたときからはじまる。 その後1870年ごろまで、同協会によって集められた古脊椎動物化石についてはジョゼフ・ライディ博士が調査・研究をおこなった。 ライディ博士はアメリカにおける古脊椎動物学の父とも言われる人物で、アメリカで最初に恐竜化石(ハドロサウルス)を発見した。 その後古生物館は1910年に一般公開された。


アロサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

アロサウルス

強いアゴと鋭い歯をもつ肉食恐竜だ。 ステゴサウルスのような大きな恐竜を襲うこともあった。 この化石には肩甲骨を骨折した後、それが自然治癒した形跡が見える。 この怪我により、左腕が不自由だったようだ。

アロサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

後期ジュラ紀には脊椎動物や植物と共に、多くの昆虫や無脊椎動物も存在していた。
トンボ、スミソニアン国立自然史博物館
トンボ
クレスモダ、スミソニアン国立自然史博物館
クレスモダ
タガメ、スミソニアン国立自然史博物館
タガメ

ケラトサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

ケラトサウルス

珍しいケラトサウルスの実物化石。 動きが俊敏で獰猛なケラトサウルスは、大きな頭と鋭い歯、二足歩行というジュラ紀や白亜紀の肉食恐竜のもつ典型的な身体つきをしている。 ただ、ケラトサウルスの特有な点は 鼻に角があることだ。 この角は一般的に草食恐竜に見られるものなのだが、 なぜケラトサウルスにこの角があるのかは、今のところわかっていない

ケラトサウルス、スミソニアン国立自然史博物館
ケラトサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

マイアサウラ・ペーブレソルム
マイアサウラ、スミソニアン国立自然史博物館

子供のマイアサウラ。
頭の大きさは、大人の10分の1ほどだ。

イチョウ
イチョウ、スミソニアン国立自然史博物館

ダーウィンが「生きた化石」という新しい言葉を作ったとき、イチョウのことを意味していた。 今でも身近にあるこの木の起源は2億9千万年前の石炭紀後期にまでさかのぼる。


ティラノサウルス、スミソニアン国立自然史博物館

ティラノサウルス

ティラノサウルス・レックスの意味は爬虫類の暴君王だ。 6500万年前、昆虫がブンブンと飛び回り木々に咲く花の香りにみちた温かい気候の北アメリカ西部を支配し、繁栄していたようだ。

大きくて、厚く、頑丈な歯は肉に噛み付き骨を噛み砕くのに適した構造だ。 巨大なトリケラトプスをも餌食にすることがあっただろう。

また脚や足首も強くて頑強で、デコボコした場所を走っても体の安定を保つことできた。 さらに獲物から肉を食いちぎる際にも、獲物をしっかりと押さえ込んで体のバランスを崩すことはなかった。



スミソニアン国立自然史博物館
Fossil Labでは、石の中から化石を取り出す作業が実際に行われている。


恐竜がいなくなった後・・・ (新生代)

ディアトリマ

ディアトリマ、スミソニアン国立自然史博物館

恐竜が絶滅した後、鳥類や哺乳類がそれぞれ新たに進化しはじめた。 早い段階で肉食として上位に立ったのは鳥たちだった。 飛ばない巨大な鳥ディアトリマもそうした肉食の鳥だった。 だけど、これらの鳥は始新世の後期にはいなくなってしまった。 恐らくこの頃に肉食の哺乳類が現れたからだろう。

ステゴマストドン

ステゴマストドン、スミソニアン国立自然史博物館

更新世(約100万年前)に生きていたステゴマストドンは、マンモスや現代のゾウよりもむしろマストドンにより近縁の大型哺乳類だ。 アジアから北アメリカに渡り、南アメリカまで移動していったようだ。



エレモテリウム


立つと6メートルの高さになる。 重さは数トン。 太い尾を支えにして体を起こして座り、木の枝や葉に手を伸ばした。

後脚は90センチもあり、この時代、地上にいた最大の動物だ。 のろまで不恰好、体重を脚の外側で支えていて、足のツメは内側にまがっている。

3種の巨大ナマケモノ、Megatheres、Mylodonts、Megalonychids は南アメリカを生息地としていた。 その後、巨大ナマケモノは、おそらく西インド諸島に漂着したか、中米を陸橋のようにして通って北米にその生息範囲を広げたようだ。

現在はナマケモノやアリクイなどのさまざまな種類に進化した貧歯類(異節類)。 その祖先は南アメリカに棲んでいたのだが、どのような動物であったのかはまだよくわかっていない。 ただ、 鮮新世に北アメリカと南アメリカが中米によって地続きになった後、巨大ナマケモノやアルマジロ、グリプトドンなどが北米に進出したため、それらとの直接的な生存競争を避けて生き残れたようだ。

エレモテリウム、スミソニアン国立自然史博物館


グリプトドン、スミソニアン国立自然史博物館

グリプトドン

鮮新世後期、哺乳動物のグリプトドンは中米陸橋を通って北米に進出し、北米の南側半分ほどまでその勢力を広げていった。 大柄で頑丈な脊椎動物のグリプトドンは、まるで要塞のようながっしりした胴体を支えるためその脚は巨木の根っこのようだった。

その見た目とは違って大人しいグリプトドンは臼型の歯をもつ草食動物、温暖多湿で草が青々と茂る場所に生息していた。 約23,000年前、自然環境が変化し絶滅していったと考えられている。


巨大ナマケモノの糞

巨大ナマケモノの糞の化石、スミソニアン国立自然史博物館

動物のフンはときどきミイラ化したり鉱化したりする。 そのようなフン化石は、その動物がなにを食べていたのかを教えてくれる。 含まれている植物の花粉からその当時存在した植物の種類を知ることもできる。

 

甲虫

甲虫、スミソニアン国立自然史博物館

発掘地 カリフォルニア州
約50万年前のもの。


ノースアメリカンライオン
Panthera atrox

ノースアメリカンライオン、スミソニアン国立自然史博物館

発掘地 アラスカ州
3万~1万2千年前のもの


プロングホーン、スミソニアン国立自然史博物館

プロングホーン

プロングホーンの仲間たちは北アメリカだけに生息し、第三紀に種を多様化させて大平原での生活に適応していった。 プロングホーンは、シカやヘラジカよりもむしろウシやバイソン、ヒツジ、ヤギなどに近い。 シカは毎年角が生え変わるが、プロングホーンはウシたちのように角が生え変わることがない。


オオツノシカ

オオツノシカはシカの仲間だ。 100万年前頃から大型化した。 ほとんどの化石はアイルランドの泥炭沼で見つかってるものの、その生息域はユーラシアから中国、シベリア、そして北アフリカまで到達した。 さらに氷河期には陸橋を通ってイギリスにまで移動したようだ。 大きな角は、毎年生え変わって成長する。

オオツノシカ、スミソニアン国立自然史博物館

ダイアウルフ、スミソニアン国立自然史博物館

ダイアウルフ

ダイアウルフは現代のオオカミよりもやや大きい。 動きが鈍く知能がやや低かったと考えられている。 集団で狩りをし、長く走って追い詰め、獲物が疲れたところで捕える。 1万年前ごろに絶滅した。 人間との関わりは知られていないが、犬によく似た動物は、8000年前の上部旧石器時代に人間の家畜となったようだ。

注:ダイアウルフの知能の程度については、脳が比較的小さいことや化石がタールの沼からたくさん発見されたことから(同時代のアメリカライオンはタール沼の危険を知っていたのか、その化石はタール沼からそれほど見つかっていない) 推測される。