トカゲ太郎のワンダー・ワールド
スミソニアン国立自然史博物館
恐竜コーナー
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恐竜の時代、海もまた生き物の物語を紡いでいた
その1

>>> その2 に続く

白亜紀の礁の作り手
- 厚歯二枚貝(コウシニマイガイ) -

サンゴは刺胞動物の仲間だ。現代では海の中に広大な礁を築くのはサンゴ(一部カキも)だけだけど、恐竜の時代はそうとは限らなかった。礁を形成していたのは厚歯二枚貝。この聞き慣れない貝は軟体動物の仲間だ。その起源は三畳紀後期、2億1700万年から2億年前までさかのぼる。厚歯二枚貝はジュラ紀から海の底で繁栄したけど、白亜紀の終わりごろに絶滅してしまった。厚歯二枚貝は今の二枚貝のように二つの殻とそれをつなぐ蝶つがいをもっていた。でも、その見た目は今の二枚貝とまったく似ても似つかない。ある種類はアイスクリームコーンのような形をしている一方で、他の種は筒状の形をしていた。

Rudists
厚歯二枚貝
1億6000万から6500万年前、白亜紀初期から白亜紀後期
プエルトリコ、キューバ、ジャマイカ
Rudist Bivalve (Hippurites radiosus)
厚歯二枚貝 (Hippurites radiosus)
白亜紀後期 フランス

白亜紀の海の中、厚歯二枚貝



イカはアンモナイトの親類だ。ジュラ紀初期にイカの仲間は現れた。

Squid
イカ 1億4500から1億4000万年前 ジュラ紀後期
ドイツ西部

デボン紀、4億年前ごろに現れたアンモナイトは世界中の海に広がっていった。でも、白亜紀の終わりにその姿を消し絶滅したようだ。イカとアンモナイトの両方とも頭足類だ。頭足類は水を噴射して推進し、敵から逃げたり獲物を捕まえたりする。その殻は深いところでも水圧に耐えられる構造をしている。

Ammonites
アンモナイト1億8800から6500万年前 ジュラ紀初期から白亜紀後期
二つの大きなものはイングランドで発見、
残りのものはアメリカのサウスダコタ州で出土



今のカブトガニと同様に三葉虫は脱皮を繰り返して成長する。当然、大きく育つごとに古い殻は後に残されるから、三葉虫の成長の過程をつぶさに観察できるのだ。

Ammonites
三葉虫 Elrathia kingi
5億7000万年から5億年前 カンブリア紀 アメリカのユタ州


アゴのない魚

無顎類(むがくるい)と呼ばれるアゴのない魚たちはカンブリア紀に地球上に現れた最初のセキツイ動物だ。無顎類には円口類と甲皮類の2つのグループが含まれる。円口類の仲間のヤツメウナギ類とヌタウナギ類は今でも生き残っているけど、甲皮類はすべて絶滅してしまった。無顎類の口は食べ物を吸い上げたり、濾しとったりするようになっていて、おそらく水底に暮らしていたと考えられている。ほとんどの無顎類が頭部を硬い甲殻で覆っていた。

Dartmuthiaは甲冑魚(かっちゅうぎょ)の一種。口は頭の下にあり貝などを食べていた。おそらく海底を棲みかにしていた。

Dartmuthia
Dartmuthia
4億年前 シルル紀後期 エストニア
Rhyncholepis
Rhyncholepis
4億年前 シルル紀後期 ノルウェー

Rhyncholepis は甲冑魚の中でも欠甲類に含まれ、大きな甲殻で頭が覆われていない。代わりにとても小さなウロコが頭を覆っていた。

ドレパナスピス(Drepanaspis)の口は下向きではなく上向きについている。河口付近から海にかけて暮らしていた。

Rhyncholepis
ドレパナスピス(Drepanaspis)
3億9000万年前 デボン紀初期 ドイツ西部


アゴの誕生

最初期のアゴをもつ魚は、板皮類と呼ばれデボン紀後期に現れた。なぜ、またはどのようにしてアゴが進化したのか未だにはっきりとしていない。ひとつの仮説によると、食べ物の種類を増やしたり、呼吸を効率よくしたりするためエラの一部(咽頭弓)が進化したと言われている。いずれにせよアゴの誕生はすべてのセキツイ動物にとって大きな一歩だ。

ボトリオレピスは湖や川などの淡水を泳いでいた。骨のような甲殻は二つに分かれていて、それぞれ頭と胸を覆っている。おそらく水底を棲みかとし、砂や土の中に潜んでいる貝などの無セキツイ動物を食べていた。ボトリオレピスの化石は南極を含む世界中で発見されていて、100種類もの仲間が知られている。

デボン紀後期の海の中で、体長約7.5mにもおよぶダンクルオステウスはおそらく最も大きな捕食者の一種であった。ダンクルオステウスはアゴをもっているが歯は無く、アゴの先は鋭いハサミのような機能をはたしていたようだ。サメやイカ、魚を捕まえて食べていたと考えられている。

Dunkleosteus terrelli
ダンクルオステウス
3億8500万から
3億5900万年前
デボン紀後期
アメリカのオハイオ州


Dunkleosteus terrelli
ボトリオレピス
3億6000万から3億4500万年前
デボン紀後期
カナダのケベック州


デボン紀の海



かたい骨をもつ魚たち

Ptycholepsis bollensis
プティコレピス
原始的な条鰭魚
1億9500万年前 ジュラ紀初期
ドイツ

硬い骨をもつ魚は硬骨魚類と呼ばれ、身体の中に骨格をもっている。一方、サメやエイなどの軟骨魚類はやわらかい軟骨で骨格ができている。今日、硬骨魚類は最も多くの種類におよび、一般的に条鰭類(じょうきるい)と肉鰭類(にくきるい)の二つのグループに分かれる(四肢動物が含まれる場合もある)。肉鰭類で生き残っている種は肺魚とシーラカンスのみだ。反対に条鰭類はデボン紀から多様化し、現在では2万3000種以上が生きている。

硬い内骨格をもつということ以外にも条鰭類はいくつかの特徴をもっている。上アゴ(上がく骨と前上がく骨)が頭がい骨にくっついていないことやヒレに細い骨が通っていること、水の中で浮力をもたせてバランスを保つ浮き袋をもっていることなどだ。条鰭類はこれらの身体の特徴によって俊敏に泳ぎ、獲物を捕まえることができる。

原始的な条鰭類は、ふつう硬鱗(こうりん)と呼ばれる硬い骨のようなウロコをもっている。一方、進歩した条鰭類は薄く柔軟な円鱗と呼ばれるウロコもっていて、捕食者から身を守ることよりも水の抵抗を減らす効果をそなえている。

肉鰭類で古代に生きた種類はシーラカンス類や扇鰭類(せんきるい)などだ。そして扇鰭類が進化し四肢動物(四つの手足をもつセキツイ動物で人間もふくまれる)となった。扇鰭類の仲間が陸上での生活に適応し始めたのはデボン紀であったと考えられている。

Ptycholepsis bollensis
Microdon bernardi
中間的な条鰭魚
1億4500万年前 ジュラ紀後期
ドイツ

Diplomystus dentatus
Diplomystus dentatus
進歩した条鰭魚でニシンの仲間
5000万年前 始新世初期
アメリカのワイオミング州
Priscacara dartonae
Priscacara dartonae
進歩した条鰭魚でペルカ科の魚
5000万年前 始新世初期
アメリカのワイオミング州

Ananogmius (within the body of Xiphactinus)
Ananogmius (within the body of Xiphactinus)
8000万年から6500万年前 白亜紀後期
アメリカのテキサス州
       
クシファクティヌスに食べられたようだ

Xiphactinus
クシファクティヌス
Early eel
初期のウナギ
5000万年から4500万年前 始新世中期
イタリア


軟骨魚類

スコアリコラックスは現在のホオジロザメにとても近いサメの仲間だ。その他の軟骨魚類と同じようにセキツイとアゴだけが残っていた。骨格が軟骨でできているため軟らか過ぎて化石として残らないからだ。スコアリコラックスは2mほどのサメだけど、ギザギザのついた三角形の鋭い歯をもっていた。だから同時代の海に生きていた肉食の海生爬虫類とも十分にわたりあえただろう。

Squalicorax (shark)
スコアリコラックス
8000万年から7000万年前 白亜紀後期
アメリカのカンサス州
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