トカゲ太郎のワンダー・ワールド
スミソニアン国立自然史博物館
恐竜コーナー
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恐竜の時代、海もまた生き物の物語を紡いでいた
その2

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古生代(三畳紀、ジュラ紀、白亜紀)から 大絶滅を経て、新生代中期(暁新世、始新世、漸新世、中新世)にいたるまで海にはさまざまな生き物が暮らしていた。 その中には陸上から海へと再び生活の場を移した爬虫類や哺乳類もいた。 長い年月をかけて身体の形を変え、いろいろな種が海の環境に適応していったようだ。 大空を飛び回る翼竜や海鳥もまた海から恩恵を授かっていた。

海鳥

翼の全長が5.5mにもなるスドドントルニス(Pseudodontorns)は巨大な海鳥だ。 ペリカンやカツオドリの仲間だけど、空から海に飛び込んで獲物を捕まえるのではなく海面近くを泳ぐ魚などをすくい上げるようにして捕えていたようだ。 魚が滑り落ちないようにアゴ(歯ではない)にはギザギザがついていた。

Pseudodontorn
スドドントルニス(Pseudodontorns)の模型。
2300万年から1000万年前 中新世初期から中期
化石はアメリカのメリーランド、オレゴン、カリフォルニアの各州で見つかっている。


飛ぶ爬虫類

プテロサウルスまたは翼竜は飛ぶ爬虫類に含まれるグループで、三畳紀後期から白亜紀後期にかけて生きていた。 翼竜の大きさや形はさまざまで、翼の長さが10mにもなるケツァルコアルトスのような巨大なものからツバメほどの小さなものまでいた。 すべての翼竜は皮と長く伸びた人差し指からなる翼をもっていた。

プテラノドンは翼竜の一種で、ほとんどの発達した翼竜がそうであったように歯のないアゴと短い尾という特徴をそなえていた。

プテロダクティルスはもっと小さな翼竜の一種。 翼の全長は約1m。 アゴには歯があっておそらく魚食だったと考えられている。

Pteranodon
プテラノドン科プテラノドン (模型)
1億年から6500万年前 白亜紀後期
アメリカのカンサス州
Pterodactylus kochi プテロダクティルス科プテロダクティルス
1億4500万年前 ジュラ紀後期
ドイツ


海生爬虫類

板歯目(ばんしもく)は三畳紀に海へと帰っていった海生爬虫類の仲間。 初期の板歯目は樽のような胴体をしていたけど、時代がくだると骨のような甲羅を発達させてカメに似た姿をしていた。 板状の歯は貝や腕足類(リンコネラ目など)を砕くためのものだ。 ノトサウルスは板歯目に含まれる。

Placodonts
板歯目の一種Macroplacusの上アゴ (左)
(模型)
2億1000万年から2億年前
三畳紀後期
ドイツ
板歯目に属するプラコドゥスの上アゴ (右)
(模型)
2億2500万年から2億1500万年前
三畳紀中期
ドイツ


Placodont
三畳紀の浅い海で腕足類の仲間を食べるプラコドゥス

ノトサウルスは三畳紀の海生爬虫類の一種。 細長い身体、長い首と尾をもち、体長は約3m。 現在のアザラシのようにノトサウルスはときどき陸に上がっていたようだ。

ラリオサウルスは浅い海に暮らしていたノトサウルスの仲間。 体長はわずか60cmほど。 前足はまだ陸上生活に適していたけど、後足は櫂のようなかたちに進化していた。 もしかするとラリオサウルスは陸上から海へと生活を変える移行期の爬虫類なのかもしれない。

Neuticosaurus は最も小さいノトサウルスの一種で、体長はわずか16cmほどだった。

Nothosaur
ノトサウルス科ラリオサウルス (模型)
2億2500万年から2億1500万年前 三畳紀中期
イタリア
Nothosaur
Neuticosaurus
2億2500万年から2億1500万年前 三畳紀中期
スイス


プレシオサウルスは親類のノトサウルスよりも海の生活に適していた。 前後の足は両方とも長くのびて、櫂のような足ヒレになった。 プレシオサウルスの仲間はプレシオサウルス科とプリオサウルス科の二つの大きなグループに分かれる。 プレシオサウルス科はふつう小さな頭と長い首をもっていて、あまり速く泳げなかったようだ。 このため自分で獲物を追いかけるよりも獲物が近くを通り過ぎるのを待って捕まえていた。 反対にプリオサウルスは大きな頭と短い首が特徴で、すばやく泳いで魚を捕えていたようだ。

ドリコリンコプスは成長すると4.6mぐらいになり、魚やイカを食べていた。 ティロサウルスや大型のサメなどドリコリンコプスを捕食する敵はわずかだったと考えられている。

その証拠にティロサウルスの化石の中から若いドリコリンコプスの遺がいが見つかっている。 ドリコリンコプスをプリオサウルスの一種とする考え方がある一方、よりプレシオサウルスに近いポリコチルス科に属するという見方もある。

Pliosaur
プレシオサウルス科ドリコリンコプス
8000万年から7000万年前 白亜紀後期
アメリカのモンタナ州

Pliosaur
プロトステガ・ギガス
8000万年から7000万年前 白亜紀後期
アメリカのカンサス州

プロトステガはオサガメのような皮の甲羅をもっていた。 力強い前足と軽いつくりとなっている背骨のおかげで速く泳げたようだ。 プロトステガはこれまで地球上に生きた最も大きなウミガメの一種であると考えられている。 今のウミガメのようにクラゲや甲殻類を食べていたようだ。



クロコダイルの先祖は三畳紀後期に現れた。 でも、ジュラ紀の始めまでに海へと戻っていったものもいた。 クロコダイルは長く力強い尻尾をくねらせて推進し、石を呑み込むことで水の中でバランスを保った。 呑み込まれた石は胃の中で消化を助ける役割もあったようだ。

ステネオサウルスは浅い海に暮らし、薄い鋭い歯で魚を獲っていたようだ。 その特徴は長くて細くなった鼻と細い身体、小さな前足などだ。 ステネオサウルスは4mぐらいまで成長したようだ。

Steneosaurus
ステネオサウルス
1億9500万年から1億8000万年前 ジュラ紀前期
ドイツ

Steneosaurus
モササウルス科 ティロサウルス・プロリゲル
8000万年から7000万年前 白亜紀後期
アメリカのカンサス州

モササウルスはオオトカゲの親せきだけど、浅い水中に棲んでいた。 ウナギのように身体を左右にくねらせて泳いでいた。

ティロサウルスはモササウルスの仲間の中で最も大きな種だ。 大食いのティロサウルスはアンモナイトやウミガメから小型のモササウルスやプレシオサウルスまで捕まえて食べていただろう。

グロビデンスの体長は約6m、ほかのモササウルスと同じように流線形の身体に足ヒレをもっていた。 ただ、ほかのモササウルスと違う大きな特徴もある。 丸い歯がそれで、おそらくウミガメの甲羅やアンモナイト、貝類の殻をかみ砕くために役だったと考えられる。

クリダステスは小型のモササウルスで体長は2mほどだった。

Steneosaurus
モササウルス科 グロビデンス
8000万年から7000万年前 白亜紀後期
アメリカのアラバマ州
Steneosaurus
モササウルス科 クリダステス
8000万年から7000万年前 白亜紀後期
アメリカのカンサス州



イクチオサウルスの先祖ははっきりしていないけど、だいたい三畳紀の初期から中期に現れて海へと帰っていったと考えられている。 イルカに似ているけれど、哺乳類ではなくて爬虫類だ。 その姿は収斂進化(しゅうれんしんか)の結果と考えられている。 つまりイクチオサウルスが自分の身体を海の環境に適応させていった結果、イルカに似たかたちになったのだ。 イクチオサウルスは海生爬虫類の中でも最も速く泳げたと考えられている。 マグロのような身体つきで泳ぎ、巨大で発達した眼で魚やイカを追いかけた。 (マグロは現代の魚の中でメカジキに次いで二番目に泳ぎが速い。) イクチオサウルスは卵を産むのではなく、赤ちゃんを水中で産んでいたようだ。

Ichthyosaur
ステノプテリギウス
1億9000万年から1億8000万年前 ジュラ紀前期
ドイツ
Ichthyosaur
イクチオサウルス
1億9500万年から1億8000万年前 ジュラ紀前期
イギリス

ステノプテリギウスの体長は約4m。 イクチオサウルスに似ているけど、頭がい骨もっと小さく、口も細かった。

イクチオサウルスは体長が約2mで、沖合に暮らしていたようだ。 イクチオサウルス科の中でも最もよく知られている。 鋭い感度をもつ大きな眼と骨を通して水の振動をとらえる内部の耳によってイクチオサウルスの狩りは支えられている。



海洋性ほ乳類

Acrophoca longirostris
アクロフォカ 初期のアザラシ、 暁新世初期、 ペルー
アクロフォカは今のヒョウアザラシの親類だ。

古代のクジラたち

クジラはハクジラとヒゲクジラの大きく二つのグループに分かれる。 なんと両方ともカバの先祖にとても近い仲間だ。 イルカやマッコウクジラのようなハクジラの特徴は息つぎのための噴水孔がひとつであることやヒゲクジラよりも比較的小型であることなどだ。 一方ホッキョククジラやシロナガスクジラなどのヒゲクジラは噴水孔が二つあって、身体もヒゲクジラより大きい。

Maiacetus inuus
マイアケトゥス
4900万年から4000万年前 始新世中期
パキスタン東部

古代のハクジラ

マイアケトゥスは初期のクジラ類で、前足には水かきがついていてアザラシのような生活をしていたようだ。 後足はまだ残っているもののほとんど海で生活し、出産の時だけ陸に上がった。

ドルドンはマイアケトゥスの親類だが、後足がもっと小さいため、おそらく陸上に上がることなく海で暮らしていた。

Dorudon atrox
ドルドン
3800万年から3600万年前 始新世中期
エジプト北部

Basilosaurus cetoides

バジロサウルスはドルドンと同じ海を泳いでいた。 異様に長く伸びた身体がバジロサウルスの大きな特徴だ。 その身体のつくりからとても速く泳げた可能性が高く、魚やサメ、軟体動物を捕まえていたようだ。

バジロサウルス
4000万年から3500万年前 始新世中期
アメリカのミシシッピ州とアラバマ州
世界で唯一展示されているバジロサウルスの全体標本



ジゴリザはバジロサウルスの親類。

Basilosaurus cetoides
ジゴリザ
初期のハクジラ
3900万年から3700万年前 始新世後期
アメリカ南東部

Basilosaurus cetoides Xiphiacetus
初期のイルカ
1600万年から1000万年前 中新世中期
アメリカのメリーランド州

古代のヒゲクジラ

ヤノケトゥスは歯とこし器のようなヒゲの両方をもっていた。 ヒゲクジラの進化の中間に位置している。

Basilosaurus cetoides
ヤノケトゥス
初期のヒゲクジラ
3500万年から3400万年前 始新世
南極

Diorocetus hiatus

ディオロケトゥスはそのヒゲの化石は残っていなものの、ヒゲクジラだ。 歯のないアゴの骨が明らかにそのことをものがたっている。

ディオロケトゥス
ヒゲクジラ
1600万年から1000万年前 中新世中期
アメリカのメリーランド州


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