トカゲ太郎のワンダー・ワールド
天王寺動物園
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特集記事 7月15日に、トカゲ太郎が天王寺動物園を訪問。 詳しいお話をたくさんうかがってきました。
天王寺動物園の動物達


 





(訪問日 2008年7月15日)

進化する動物園

図鑑から飛び出した動物たち

天王寺動物園の取り組んでいる生態的展示は、世界のさまざまな自然環境を丸ごと再現し、動物たちのより自然な姿を見てもらうことがねらいだ。 1995年に基本計画を作ってから10年、次々と新たな展示施設が完成し2006年にはアフリカサバンナゾーンがオープンした。 ネコ科、ウシ科などに分類された展示からもとの森や林へともどった動物たちの姿は今どのように過ごしているのか見てみよう。

アフリカサバンナ区草食動物ゾーン

ここには、キリン、シマウマ、トムソンガゼル、ダチョウなどが生息している。 キリンが好物のニセアカシアの葉を舌でむしりとったり、トムソンガゼルが足元の草をしきりに食べたり、のんびりとした雰囲気。 と、思ったら大間違い。 草食動物たちはそれぞれの空間を守って暮らしているのだ。

新しい環境に慣れるのに一番苦労したのはキリン。 キリンは足元の変化を一番嫌うのだそうだ。 寝室から屋外展示場に続くコンクリート製の通路から自然の土への移動を嫌がって、大地に落ち着くまで2年もかかったものもいた。

また、動物どうしが同じ空間を分け合うことも簡単ではない。 キリンとシマウマ、シマウマとエランドなど、いろいろな組み合わせを試して次第に慣らしていった。 さらに、オープンしてからも暴れん坊のシマウマがトムソンガゼルを襲うことがあり、トムソンガゼルだけが自由に出入りできる空間を作ったりと工夫を凝らしてやっと今の状態に落ち着いた。 大変だけど、野生そのものの厳しい自然の一面が展開しているから面白い。

ナイルオオトカゲのレプリカ、天王寺動物園

ナイルオオトカゲ。 でも実はレプリカ、肌のザラザラ感も再現され精巧に作られている。 あまりにもいいできなので一匹目は、足を残していなくなってしまった。 動物園のいろんなところに、ほかの動物のレプリカが隠れているから探してみるのも面白い。


キリンについて 

アフリカのスーダン、ソマリア、ナイジェリアなどの国々に生息する。 体長は4メートルから5メートル。生まれた時にすでに2メートル近くあり、一日で約3センチ身長が伸びて一年で倍の大きさに成長する。 40センチもある長い舌を使ってアカシアなどの高い木々の葉をむしりとって食べる。 トゲがあっても平気。ちなみに後ろ足のキック力はライオンでも殺してしまうほどの破壊力がある。


キリンのハルミ、天王寺動物園

キリンのハルミにエサを与えながら説明をする飼育員の油家さん。 ハルミは24歳、キリンの寿命が25年から30年というから高齢だ。 油家さんは、キリンの顎の下にある毛が感知器として優れていることや大きな眼は遠くの敵を察知するため役立つなど詳しく説明してくれる。


アフリカサバンナ区草食動物ゾーン、天王寺動物園



呼んだら来た

カシの葉が好きなトミー。 飼育担当係長で獣医師の竹田さんが呼ぶと、なんと犬のように近くに寄って来た。 「エサをもらえると思ったのでしょう。 注射もしたことがないから嫌われてはいないようです」 と竹田さんは言うが、普通の人がエサをもって呼んでも見向きもしないだろう。 警戒心が強く信頼関係がなければ無理だ。 薬の必要な時は、怪しまれないようにサツマイモやバナナの中に埋め込んであたえるそうだ。 トミーはメスのサッちゃんとの間に息子のサミーをもうけた。 クロサイは貴重だから大切な二世だ。 その後サミーはイギリスのチェスター動物園に旅立った。 

クロサイのような貴重種は、日本国内の動物園において必ず血統登録されている。 サミーの異動の場合、クロサイの国内血統登録担当者が海外の国際血統登録担当者から斡旋を受け実現したものだ。 このように絶滅の危機にある種については健全な個体数を増やせるよう血縁関係など徹底した管理が国際的に行われている。

今年2月、竹田さんがインドでチェスター動物園の園長に会いサミーの様子を聞くと、うれしいことにすでにサミーは種付けを成功させたそうだ。 つまり、トミーとサッちゃんの三世がイギリスの地で生まれるのだ。

サイのトミー、天王寺動物園


クロサイについて

1970年代にはアフリカ全体で65,000頭いたのに1993年には約2500頭にまで激減してしまった。 今、野生のクロサイは南アフリカ、ナムビア、ジンバブエ、ケニアの4ヶ国のみに生息している。 保護活動のおかげで1996年から頭数が次第に増え始めている。 ちなみに同じアフリカに棲むシロサイは、15,000頭ほどいて頭数は今のところ安定している。 ただ、キタシロサイは絶滅寸前の状態。


カバの水槽、天王寺動物園

水中のカバの様子が見学できるようになったのは、このカバ舎が日本で初めて。 450トンもある水槽の水は、特別なろ過装置によって一日38回入れ換えられ、常に高い透明度を保っている。 だから同居しているティラピアがカバのお尻のあたりを突きながらエサを食べて、カバの体をきれいにしている様子がはっきり見えるよ。

天王寺動物園にはメスのナツコとその息子テツオ、テツオのフィアンセ、ティーナの3頭のカバがいる。 写真に写っているのはナツコとティーナ。 隣のエリアにはテツオがいて、今年中にはティーナと同居させたいと動物園では考えている。



  ライオンのレオ、天王寺動物園

ここにはライオンやブチハイエナなどが棲む。 観察窓の近くでごろごろしているオスのレオ。 観察窓の近くに冷風が流れているから猛暑の夏でも快適だ。 冬は岩がホカホカカーペットになっていてやっぱりごろごろできる。

この場所に移った時には窓の近くにいる子供めがけて突進したこともあったというからすごい。 エサだと思ったのか、まだまだ野生が残っている。 今もいろいろ工夫をしながら自然に近い刺激を与えている。 でも普段は寝てばっかり。 しかしつまらなくないよ、野生のライオンも一日20時間は寝ているからこれが自然の姿かもしれない。 目の前の大きな前足や筋肉隆々の身体を見ているだけでも楽しい。


アジアの熱帯雨林ゾーンへ、天王寺動物園


ボスはわたし

アジアの熱帯雨林ゾーンには二頭のメスのアジアゾウがいる。 1頭は、今年60歳の誕生日を迎えたおばあちゃんでまだまだ貫禄のある春子。 もう1頭は、1970年の大阪万博の時にインドから贈られた39歳のラニー博子。 博は「万博」からとられて、ラニーはヒンドゥー語でお姫様という意味。 春子は歯がほとんど残っておらず、好きな水浴びも飼育員さんの手が必要だ。 それでも、高齢にもかかわらずリーダーの座を譲ろうとはしないそうだ。 メスが群れのリーダーとなるゾウの世界、この上下関係は絶対だ。 しかし、そろそろ引退してもらいたいとラニー博子は思っているらしい。 だからこの2頭、実は仲が悪く、糞の投げ合いをすることもある。

ちなみに一日で一頭のゾウは50~60キロのウンチをする。 だから2頭で毎日120キロ! これは集められて有機たい肥にされて無料で市民に配られるそうだ。 

アジアゾウの飼育を担当して10年以上になる飼育員の西田さん。 後輩の西村さんを真剣に見守っている。 ゾウにとってもっとも大事な足を守るため、足の裏の消毒は欠かせない。 そのため、体調をチェックするには最小限の調教は必要だ。 ひとつひとつの動作ができたことを慎重に確認しながら、おやつのリンゴを一個ずつ口に入れていく。

アジアゾウのラニー博子、天王寺動物園


アジアゾウのラニー博子、天王寺動物園


アジアゾウについて

約3000年前のインダス文明のころにはゾウを調教して木材を運ぶなどの使役動物として人間と関わってきた。 今でもタイやミャンマーといった国々で活躍している。 バングラデッシュ、インド、タイ、インドネシアなどの広い範囲に分布しているが、近年パーム油のための畑が増えて生息地が減少し、その数が減ってきている。 アフリカゾウと違って大きな牙はオスだけでメスの牙は小さくほとんどみえない。 また、牙がまったく無い個体もいる。

アジアの森のバショウの木、天王寺動物園

アジアの森のバショウの木。 バナナもこの木の仲間、バナナ畑の広がりによってゾウやその他の動物たちの生きる森が失われている。



天王寺動物園は、上海やメルボルンなどの外国の動物園ともさかんに交流をしている。


コアラとチャンディ・デ・アルウィスさん、天王寺動物園

オーストラリアから来た友達 

メルボルン動物園からオスのバークとメスのエンバーが6月末に来園した。 その時飼育員のチャンディ・デ・アルウィスさんもコアラが新しい環境に慣れるよう来日した。 輸送中は15度から25度の気温を保つなどとてもデリケートなコアラだが、二頭ともだいぶ日本の気候に慣れてきたという。 はじめ2週間の予定だった日本での滞在を25日間に延長したチャンディさん。

「実は私の専門はカモノハシなのです。 でもコアラは、オーストラリアを代表する動物。 カモノハシ同様貴重です。 日本の飼育員さんたちと交流を深められ、帰るのがとても名残り惜しいですね」

と笑顔で話してくれた。

コアラについて

オーストラリアの東部、標高1000メートル以下の地域にに生息している。 一日22時間は眠る。主食はユーカリの葉がすぐに消化できないためと余計な運動で体力を消耗しないためだ。 オーストラリアは温暖化の影響が深刻で、1700種類もの植物が絶滅の危機にある。 このままだとユーカリさえ枯れてしまい、コアラに大きな被害がおよぶ可能性がある。



冷房のきいたコアラ舎から出ると、再び熱気につつまれた。 真夏の暑さの中、動物園を見てまわるのはちょっと大変。 プールの中を涼しげに泳ぎ回るフンボルトペンギンの姿を見るとホッとする。 フンボルトペンギンは、南米のチリとペルーの海岸線に棲むペンギンだから、暑さも平気。

楽ではありません 

飼育員の芝野さんはオウサマペンギンの様子を展示場の中でじーっと見つめていた。 ペンギンたちが不快にならないように微妙に距離をおいて、様子を観察している。 飼育員さんになりたい人が増えているけど、決して楽な仕事ではない。 エサやりと掃除を中心に細かい作業をあげたらきりがない。

フンボルトペンギン、天王寺動物園


アジアやアフリカの自然環境を再現するために、植物や建物のデザインなどに工夫がこらされている。 とはいえ、飼育員さんや獣医さん、そのほかの動物園スタッフがつちかってきた飼育技術が生かされているからこそ、可能になったのであろう。

「今後も動物にとっての良い住環境を作り続けていくために、えさやりの方法を工夫するなど、できることはまだまだあります。 これからも動物園は進化し続けますよ。」 と竹田さんは言っていた。


取材時、竹田さんをはじめ飼育員さんは動物の名前に敬称を付けて説明されていましたが、記事においては敬称を略させていただきました。


 



天王寺動物園は、日本で3番目に古い動物園です。 
この動物園は動物の自然環境をうまく再現して、見る人をアフリカに来たような気分にさせてくれます。



  チンパンジー、天王寺動物園

悩みごとでも?

ロダンの考える人みたいだ

ただ単に暑いから疲れているだけかもしれないけど。 この日のチンパンジーさんはどう見ても考えごとをしているか、悩み事を抱えているように見えた。 本当のところは本人以外はだれもわからないけどね。 (もしかすると仲間のチンパンジーならわかるのかな?)


さぁ、観察しよう

ゾウさんは飼育員さんが大好き

動物達は、飼育員さんたちにすぐ反応する。 この日も、飼育員さんは気をつかってくれて、ゾウさんの前に姿を見せてくれた。 さぁ、シャッターチャンスだ。

アジアゾウ、天王寺動物園


都会の真ん中にサバンナが広がる

アフリカサバンナ区草食動物ゾーン、天王寺動物園

想像力が大事

北園のアフリカサバンナはよく工夫されている。 キリンシマウマがいる展示場は、ハイエナライオンのいる場所からもよく見えるようになっていて、動物達がまるで一緒の大地でくつろいでいるよう。 (もちろん肉食獣草食獣はしきられているけど)。


こういうの、どうでしょう?

なんとなく気になるハイエナ

この日は、暑かった。 水浴びをしているハイエナさん。 ひとしきり見て去ろうとすると、水をバシャバシャとかき回し始めた。 面白いと思って見ると、ピタリとやめる。 また去ろうとするとバシャバシャ。

視線が思わずあってしまった。

2頭一緒にいるハイエナは、母親の愛と子供の蓮。 オスの秀は愛にいじめられるため、別の場所にいる。 ハイエナはメスがリーダーとなって群れを統率する。 体もひとまわりメスのほうが大きい。 またハイエナのオスかメスかの判定は見た目ではとても難しく、DNAか染色体で最終的に判別する。 このため、2007年8月に生まれた子供は、どちらでも良いように蓮と名づけられた。

  ハイエナ、天王寺動物園